しばらく道を進むと、村の広場のような場所に出て、そこには大仏があった。
大きさは10m以上はありそう。メンテも行き届いたぴかぴかの大仏で、周り何にもない草原の風景から浮いている。変な夢に出てきてうなされそうな空間だ。
そしてこの大仏、日本人にとっての「仏」のイメージはほとんど共通点が感じられない
王冠のようなかぶり物や、肩から羽のような板が生えた上着、そしてお腹の前には僧衣とは到底思えない変な前垂れ。ヤンゴンの国立博物館で見た王様の衣裳と良く似ている。おそらく王様の姿をした仏陀なのだろう。
ミャンマーの仏教では釈迦の前にも仏陀は別の人間として生まれたというが、そうした「過去仏」の一人か。
あるいは、出家する前の王族だったときの釈迦の姿か。
大仏の前の広場にあった塔。
高さは6mほど。
この塔のモチーフはカタツムリ。
カタツムリはゆっくりとしか動けないが、地道で強い意思を持っているとのこと。
イソップ寓話『ウサギとカメ』の物語の、カメの立ち位置の動物らしい。
てっぺんのひときわ大きなカタツムリは、殻の先端部分に聖火のようなものを掲げている。
もしかしたらパゴダ一緒に作られる石柱の一種なのか。石柱の上には鳥がいることが多いが、それがカタツムリになったのか。
謎は深まるばかりだ。
大仏のあたりをウロウロしていたら、村のおばあちゃんが野良仕事を終えて帰るところに行き合った。
このおばあちゃん達が着ている上着に注目。さっき見た魔除け飾りに掲げられているのと同じような細かい模様の布地だ。
日本人が来ると言うので観光協会に雇われた人ではないよね? そんなものこの田舎にあるはずないし。どうしてこんな手の込んだ衣裳で野良仕事を?
こうした細かい模様の上着は刺繍で作る場合もあり、そうした刺繍の上着はパアン市内でも見かけるのだが、これはどう見てももっと上等なものだ。
おそらく織りで作っている。しかも想像だが腰機であろう。織っているところ見てみたい。
どうしてこういう細かい手仕事のものが、パアン市内では売ってないのだ?
この村ではほかにも細かい模様の衣裳を身に着けている女性をたくさん見かけた。
紺色と赤は女の人の上着の定番の色使いのようだ。
貫頭衣と言っても、こうやってウエストを細くしばっておしゃれに着こなしている人もいる。
(2014年07月14日訪問)