パアンの家具店

木彫で飾られた家具がメイン。

(ミャンマーカレン州パアン)

写真

仕事で使う事務用の棚を買おうと、パアン市の家具工房を4軒ほど回った。そのうちの2店を紹介しよう。

写真

ここは店、というよりも工房が小売りもしているというような場所だった。

室内には作りかけの棚の部品がたくさん並んでいる。

写真

「書類を整理したり文房具や事務用品をしまう棚がほしいんだけど」

「棚はこれだよ」

この嫁入り道具みたいなゴテゴテの食器棚しかないの?

写真

しかも、外側はニスが塗ってあって、遠目には立派だけど、近くでみると裏板などすきまだらけではないか。

ニスが垂れて汚れてるし。

触ると手にトゲが刺さりそう。

写真

戸板を彫刻していた。

基本的にすべて無垢材。合板などは一切使わない。というか存在しないのだろう。

写真

けっこう丹念に彫っている。

こういう所には力が入っているな。

写真

木彫の道具。

写真

希望するようなシンプルな棚がなかったので、何軒も回ってみた。

ここは3軒目の店。

写真

こちらはおもてが店舗になっていて、完成品のテーブルや戸棚が並んでいる。

写真

でも、やっぱり19世紀末のネオルネッサンス時代みたいな意匠の家具ばかり。イギリス植民地時代の影響なのだろう。しかし20世紀に入ってからの、バウハウスだのモダニズムみたいな合理主義、機能主義はまったくカレン州には入ってこなかったのだろうか。

飾りッ気のない家具を普通に作ってほしいだけなんだけど。なんだか、安売衣料品店で「なんでこんなワンポイントを付けるんだよ、これがなければ着られるのに」と買うものがない思いに似ている。

写真

値段もけっこうする。カレン州の人々の月給の2倍、3倍もするのだ。日本で月給の数倍も出したら、孫子の代まで使えるような良いものが買えるだろう。

今回は決して良いものを買おうというのではなく、IKEAやニトリの家具の廉価版みたいなものを探していたのだが、どうやらパアン市内では簡単には手に入らないようだ。

写真

店舗の奥は工房になっていた。

ここでも扉の彫刻に余念がない・・・。

結局、市内に1軒だけあるデパートの家具売り場で、中国製の安かろう悪かろうのスチール棚を購入したのだった。すぐにカギが壊れたり、戸板が曲がったりしたが、なんとか使い続けている。

マーケットへ行けば何でも売っているように見えるこの町だが、いざ本当に使おうと思って探すとノート1冊、ハサミ1つでも日本で思うような品質のものは手に入らない。

(2014年07月21日訪問)