トゥダマ通りからヤンゴン空港へ向かう道、ラジオステーション通りの跨線橋から巨大な白亜の建物が見えるのは、かなり以前から気になっていた。地図によればナガヨンパゴダという寺である。
前回の雨季のミャンマー滞在で、ナーガ洞窟僧院の次に寄るつもりですぐ近くまで行ったのだが、豪雨に阻まれて撤収したスポットである。
まだ観光ガイドなどに紹介されていないため、タクシーの運転手は知らなかった。フリーペーパーの市街地図を見せたら「オーケー、オーケー」と言って走り出し、全然違う寺に行きそうになる。さては、地図読めないのにしらばっくれたな・・・。
ミャンマー人の「オーケー、オーケー」ほど信用できないものもないだろう。本人たちは悪気はなく「がんばるョ」程度の感じなんだろうが、日本人としては「ダメなのなら早めに言ってほしい」のである。
結局、1時間程度をロスし、道行く人に聞きながら寺にたどりついた。その間かたくなに地図を見ようとせず。
あーもー、狭い道で車体こすったり、むき出しの水道管なんかがあって底を当てたら悪いと思っておまかせで走ったけど、最初から「そこ右、そこ左」って指示するんだった。
たどり着いて見ると山門が閉まっている。営業時間外なのか。
車両用の大きな門が少しだけ開いていたので、中に入ってみる。
入口の検問所みたいな建物を工事している人がいたので、入りたい旨を伝えると、快く門扉を開けてくれた。
寺はまだ未完成だったのだ。
入口にあった巨大ヒンダー。
恐竜のような脚が怖い。
こんなのが生きて動いていたら、確実にこっちが喰われる。
コブラ光背の仏陀。
どちらかというとコブラが主で、仏陀が付属品というような扱い。
境内の右側は僧院になっている。
その僧房が桁外れの大きさなのだ。
地上5階、日本の田舎の百貨店くらいはある大きさ。
まだ未完成で、RC造に耐力壁としてレンガが充填された構造がわかる。完成するまえから廃虚の風格が漂っているのが気にかかるが。
それにしてもすごい迫力。日本で大きな建物というと、S造のラーメン構造で躯体を作り、壁には軽量な部材が使われることが多い。それに比べて、レンガ積みはその情報量の多さから、実際以上のスケール感を与えるのだ。
屋根と2階まではでき上がっているようだが、まだ修行僧は入居していないようだった。
いったい何人の僧が修行できるのだろう。1,000人以上は軽くいけそうだ。
左側には本堂。
こちらもでかい。窓の数などから推定で内部は5階以上はあるだろう。
そしてこの本堂の外観、見たところバガンのタビィニュ寺院のコピーであろう。しかもおそらくオリジナルよりも巨大だ。
僧房に比べると、こちらは外装は完成に近づいている。
中はどうなのだろう。
「おじさん、中みせて」
「いいョ」
この気軽さがミャンマーのいいところでもあるのだが。
内部はまだ照明がないため真っ暗で、コンクリート打ちっ放しの状態だった。
一部、内陣のあたりだけは柱の装飾があり、仏像も置かれていた。
だが、この建物の規模とこの仏像の大きさはあきらかに釣り合っていない。おそらく仮に安置されている仏像なのではないか。
2回へ登る階段があったが、登るのは遠慮しておいた。
写真は増感しているので明るそうに見えるが、実際はかなり暗いのだ。
バガンの古代寺院ではレンガ積みで建物の中はびっしりと詰まっているのだが、この本堂はRC造なので基本的に空間だらけだ。
大仏くらい設置できるのではないだろうか。
それにしても寺の建物とは思えないスケール感。
どうもこの寺は軍事政権系の資本からの寄進で建築されてるらしいのだ。それでこんな財力があるのか。
完成したらどんなになるのか楽しみではある。
仏塔はないのだが、タコンタイはあった。
本堂とペアになるものだとしたらちょっと小さすぎると思う。
(2014年11月21日訪問)