メーラムー寺院・その2

ヤンゴン最強の珍寺。境内に巨大なワニの像がある。

(ミャンマーヤンゴン管区ヤンゴン)

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その1からのつづき。

メーラムー寺院のシンボルとも言える巨大ワニ。

その頭のほうへ回ってきた。

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ワニの口の中もお堂になっているが、あまり深くはなく、すぐに行き止まりになっている。

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ワニの身体の右側には階段がある。ワニの背中に登れるのはこの一箇所だけである。

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背中にはお堂があり、内部はモザイクミラーがギラギラと輝いていた。

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ワニの身体の左側にまわってみる。

ワニの背中には巨大なハマザクロの実が載っている。

ハマザクロは、日本で言えば桃太郎のモモ、あるいは、瓜子姫のウリ的な存在である。大きな実の中からは卓越した人物が生まれるのだ。

ハマザクロはパゴダのような形をしていることから、神秘的な果物と見なされたのではないだろうか。

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身体の左側には胎内への入口がある。

2000年に来たときには、ここから背中に登れたような気がするのだが、その通路は封鎖されていた。

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胎内は廊下になっていて、レリーフによる物語が展示されていた。

観光寺院のためか、説明に英語もあったので簡単に紹介する。

もっとも、よくわからないところもあるので、3割くらいは想像で補った。

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むかしむかしあるところにお坊さんが庵を結んで暮していました。

あるとき彼はマングローブの林で、とても大きなハマザクロの実を見つけ、持って帰りました。

ほどなくその実の中からかわいらしい女の子が生まれました。

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その子は美しく成長し、ハマザクロ(ラムディ)から生まれたので「マー・ラムー(Miss ラムー)」と呼ばれました。

そのころ、天界の王・サッカは地上に仏教を広めるために空から人間界へと降りてきました。

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サッカはメーラムーを見初め、二人は愛し合うようになりました。

そして、メーラムーはお坊さんに願い出て、二人は結婚しました。

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しかし仏教を広める役目が終わると、サッカは天界へと帰らなければなりませんでした。(想像)

二人は別離れることになり、メーラムーは人間界へ残され、毎日泣いて暮しました。

それを見たお坊さんは、サッカ宛ての手紙をオウムに託して送り出しました。

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オウムは天界まで飛んでゆき、サッカに手紙を届けました。

それを読んだサッカはメーラムーを不憫に思い、子を授けるための聖なる水を与えることにしました。(想像)

オウムは首に小箱を付けていたので、サッカはその箱に聖なる水を入れてオウムを帰しました。

ところが、サッカの4人の妃たちがそれを物陰から見ていました。彼女たちもその水を欲したのです。(想像)

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妃たちは鷹に変身して、オウムの後を追いかけました。

4羽の鷹はオウムに襲いかかり、オウムは必死に戦いました。

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そのせいで、水が小箱から飛び散りました。そのしずくは下界に落ち、メスのワニ、トラ、シカが飲みました。

ワニは懐胎し、ガモエィェイクを生みました。

トラは懐胎し、チャンガシンレイを生みました。

シカは懐胎し、ミンガラドンタミアマを生みました。

3人はそれぞれビルマの伝説上の王です。(想像)

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オウムは最終的に逃げ切って、お坊さんの元へ戻りました。

首からかけた小箱には、まだ少しの水が残っていたので、それをメーラムーに飲ませました。

するとメーラムーは懐胎し、男の子を生みました。

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その男の子は成長し、オカラッパ王となりました。

お坊さんはオカラッパ王を仏教に帰依させ、王は仏教を広めるために尽くしました。

王とその家臣、信者たちは力を合わせ、ヤンゴンのシングッタ丘にシュエダゴンパゴダを建立したということです。

これがメーラムーの物語である。

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境内を半周し、北側の回廊へ。

このあたりには小さな露天商がお店を出している。

特に、放生(ほうじょう)ショップが充実している。

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これはおみくじ屋ではないかと思う。

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放鳥屋。

参拝者がお金を払って鳥を購入し、それを逃がすことで功徳を積むというシステム。

鳥は飼いならされていて、放鳥屋の家の巣箱に戻るという疑惑あり。

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これは放魚屋。この店は魚の種類が多い。

放鳥は以前にやっているので、今回はこの魚放生をやってみよう。

一番値段の張りそうなナマズをチョイス。それでも5匹で1,000チャット(約80円)だった。

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放生池(ほうじょうち)はかなり広いので、ちょっとやそっと魚を入れても過密になることはなさそう。

日本の寺の放生池だと、池が小さくて毎日入れ続けたら過密になりそうな施設の場合もある。

池には浮御堂があって、中にはシンウーパゴが祀られている。

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黄金塗りのシンウーパゴ。

右向きタイプだ。

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托鉢行列仏。いま名付けた。

通常は参道に並んでいて、このように屋根があるのは珍しい。

ミャンマーに来てお寺で初めてこれを見ると、ほとんどの日本人が面食らうのではないかと思う。「なんで、こんなにたくさん仏陀がいるん? 分身の術を使ってるところ? それともパラパラマンガ的な何かなの?」 と。

これは仏陀が弟子を引き連れて托鉢をしている場面を表しているのである。したがって仏陀は先頭の一人だけで、残りはすべて弟子。

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そして行列の先頭にはたいがいこのように寝そべっている人がいる。これは仏陀が泥に汚れないように、自分を橋として投げ出した修行僧であり、横で合掌しているのはその妻である。

ミャンマーの仏教では、ゴータマ以前にも仏陀になった人(=過去仏)は何人も存在し、ゴータマは4人目だとされている。ここに寝そべっているのは修行時代のゴータマで、過去仏が「彼こそ次に仏陀になる」と予言する場面を表しているのだそうだ。

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信徒休憩所。

こういう休憩っぷりにも最初は面食らう。

いまは慣れたので何も感じないが・・・。

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仏教界にもキューピッドがいた!

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石柱の上にある托鉢を盗もうとしてよじ登っている浅ましい人たち。

仏陀が念を送っているので、どうしても登り切ることができないという場面。(想像)

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巨大なシンティワリ。彼を信仰すると食べ物に困らないとか。

池の中にいるのは珍しい。

よく見るとカメやカエルなどの石像が沈んでいる。

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謎の一行。

ヒゲのおっさんも謎だし、後ろの浮かれたデブも謎だ。日本人から見たら変なものにしか見えない。

ヒゲのおっさんは髪の毛が長いので原始仏教の修行者ではないかと思う。

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とにかくこの寺には仏像が多すぎる。ジオラマ館はほとんど紹介していないので、2ページ使って紹介できたのは、この寺の仏像群の半分くらいだろう。

ヤンゴンで面白いお寺を見ようと思ったら、シュエダゴンパゴダの次にここメーラムー寺院をお勧めする。

(2014年11月21日訪問)

ミャンマー動物紀行 資料編

単行本 – 2002/2/1
大西 信吾 (著)

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