カレン料理はほぼすべてが油で炒めたものか、そうでなければ、油で煮たものである。カレン風カレーがメインのおかずになるが、ちょうど豚の角煮を想像してもらうといい。盛りつけた皿に肉がゴロゴロッと2~3個入っていて、その下に煮汁が溜まっている。その煮汁が高純度の油なのだ。
さて、そんなカレン料理店について紹介しよう。英語の観光ガイド『lonely planet』のパアン市の項でベストチョイスとされるレストランが市街にあるのだが、正直なところ私はその店の雰囲気も味もあまり好きではない。たぶん現地人も『lonely -』を読んでいて、外国からお客さんが来ると決まってその店に連れて行くのだと思うが、できれば私は遠慮したい感じだ。どちらかというと、郊外や学生街でおばちゃんがひとりでやっているような小さな食堂やジャンクな感じの居酒屋や若者向けカフェの料理のほうが口に合う。
店内は室内席と屋外席がある。
こちらは屋内席。
コーラなどの冷たい飲み物もいくらか置かれていて、自分でチョイスできるのがありがたい。
こちらは屋外席。屋根だけがあるが、ミャンマーでは寒いということはないのでこれで充分。
観葉植物がたくさん下がっていて、雰囲気作りも悪くない。
お店に入ったら、まずメインのカレー料理を選ぶ。
メニューはないので、鍋のフタをひとつひとつ開けて、何があるかを確認して注文すればいい。
だいたい一品頼めば、ご飯一杯分のおかずになるが、いろいろ食べたければ二品選んでもいいだろう。
予算は全部で300~500円程度。
私がここでよく食べるのは、鶏のレバーのカレー。モノによっては辛いカレーもあるが、内臓のカレーはほぼ辛くない。そして何より小骨が入っている可能性がないので、食べやすいからだ。
肉類で柔らかいのはヤギ。肉類はすべて骨ごとぶつ切りにしたものになる。
魚や鶏は小骨があるので、それが平気ならば。
私の個人的なお勧めはエビ。
次に副菜も選ぶ。
ここらへんに並んでいるのが、サラダである。
ご当地でサラダといえば、日本でいう野菜炒めなのだ。
これは川蟹のカレー。
リスクの高い食材である。
ひときわ美味しいが、個人的な経験からすると、お腹を壊す割合が高いように思う。
ショーケースの横には白米が置いてあった。
スズメに食べさせるためであろう。おそらく宗教的行為である。
これをやっていない店で、スズメがガラスのショーケースに飛び込んでカレーを強奪しているのを見たことがある。ミャンマーのスズメはカレーを食べるということに驚いた。
テーブルに着いて待っていると、おばちゃんが注文した料理を運んでくる。右側に置かれいるのがレバーのカレーだ。
ご飯はお代わり自由で、スープはサービス。
食器は右手にスプーン、左手にフォークを持つ。スプーンは西洋のナイフのように肉を切るのに使い、また、食べ物を口に運んでもいい。
副菜の野菜炒めなど。トウモロコシの炒め物は必ず注文するお気に入りのメニュー。
赤い盆に載っているのは付け合わせの生野菜。キュウリ、ナス、未熟マンゴーなど。これはテーブルにひとつサービスで付く。東南アジアで生野菜はリスキーだが、なにせ油っこくないのはこれくらいなので、私はよく口にする。
銀色の容器に入っているのは薬味。魚粉とトウガラシのフリカケで、カレーの上からまぶすとスパイシーになる。
カレーは肉を食べるだけでなく、下に溜まっている油をご飯にまぶす。このとき、右手でぐちゃぐちゃとかき混ぜて手で食べてもOK。私はしたことがないけど。
日本人は料理を食べるとき、目、鼻、舌、のどの感覚を総合的に使って味を感じるが、手を使って食べる文化では、手から得られる温かさや柔らかさの感覚がプラスされることで、より味わいが豊かなのだという。
食後はお茶とお茶うけの椰子菓子のタンビィンがサービス。これは椰子の花弁からでる蜜を煮詰めて作った、黒糖菓子である。
(2015年11月23日訪問)