
トゥパァウィンパゴダのあるお寺、シュイプーチャウン僧院。
その境内の西側に砂糖菓子を作っているお店がある。

これがそのお店。
食品を製造している場所にしては中々の風情、つまり、衛生度は低い。
もっともわざわざミャンマーの田舎まで観光に来るような外国人にはプラス要素でしかないが。

これがその砂糖菓子。タンビィンという。
菓子、というより、砂糖の固まりである。日本の沖縄なんかで売ってる黒糖の固まりとほぼ同類のお菓子。
味はゴマ入りの「白」と、プラム入りの「赤」がある。

味はとにかく甘いだけなので、そのままでは食べ切れない。
基本的にお茶請けだ。

この菓子の原料は、オオギヤシの樹液。
樹液の採集地は僧院の庭のヤシである。

これがその樹液を採取する容器。

花弁を切断し、そこからにじみ出る液体を採取するらしい。
高いところにあるので、よく見えないが。

この樹液は、ゴムや漆みたいにチビビチ集める感じではなく、この容器が毎日一杯になるほど採れるようだ。

境内には十数本しかヤシが生えていない。これだけで営業できるのだろうか。
ちなみにこのヤシは生長するのにけっこう時間がかかるみたいで、これらの樹は樹齢50年くらいはいっているのではないかとのこと。

集めた樹液を、このカマドで煮詰めて濃縮し、練り固めたものが砂糖菓子なのである。残念ながらきょうは製造しているところは見られなかった。
また、おそらく樹液を中途半端に煮詰めて発酵させると黒みつになる。以前ヨーグルト店でトッピングとしてメニューで見たことがある。

手作り感あふれるカマド。調理場は壁もなく吹きさらし。
樹液中のゴミは風呂水の髪の毛を取るネットみたいなやつで濾してはいるが、お菓子を噛んでいるとときどきガチッと砂を噛むことがある。
でもまあ、熱は通しているし、糖度が高いのでこのお菓子でお腹を壊すことはないだろう。

作業場の中に作られていた仏壇。
日本でいえば神棚に近いものだ。
次は、ついでにオオギヤシのもうひとつの楽しみ方、タンイェーを紹介しよう。
(2015年04月30日訪問)