県道を走っていたら「石の懸樋」という看板が出ていたので脇道に入ってみた。これがその石の懸樋といわれるものだ。
田原用水という用水路が小野田川という自然河川を横断するために作られた江戸時代の石橋である。残念なことに河川改修かなにかで本来の場所から移転して河原に置かれていた。
川でもない場所に橋を移築して、しかも水道橋なのに橋上に水がない。
これで「さぁ見てください、価値のあるものでしょ?」と言われても、ぜんぜん心が動かない。
何なんだろう。見せ方がほんとつまらない。
しかも復元が雑だ。移築前の写真と見比べると石材の積み方が違っていたりする。
これで県重文というのはいかがなものか。
ここが用水路が流れていた面。
石と石の隙間は木材を入れたり漆喰で固めるなど、水漏れ防止の特殊な施工がされていたという。そうした構造も再現されていない。
同様の遺構はとして群馬県甘楽町の吹上の石樋を紹介しているが、そこでは水漏れ対策はされていなかった。
そうした細部技巧がこの石の懸樋の見どころだと思われるが、とても残念な復元になってしまっている。
(2003年04月28日訪問)