塩木のベーハ小屋、その3。
車道に面していて、少し見おろすような場所にある。
形態は塩木の他の2つのベーハ小屋と同じだ。
同じ字であれば、同じ大工が施工して、同じ設計になるであろうことは推測できる。
だがベーハ小屋がだいたい同じ形をしているのには別の理由がある。
ベーハ小屋の設計図は専売公社が制作し、全国の農家(たばこ組合?)に普及を促したのだ。そのため、建物の寸法や形状などが全国的に見ても差違が少ない。
専売公社からすれば、乾燥・発酵の工程を標準化することで、品質の安定を図るという目的があった。安普請や、コスト削減のために設備を省いたような勝手な建物が見られないことから、建築にあたって補助金も出たのであろう。
養蚕が国内産業としてほぼ終焉したのと同じように、葉タバコもまた縮小の一途をたどっている。
したがって、こうした葉タバコに関連した風景は過去のものになりつつあり、すべてのベーハ小屋は消え行く運命と言っていいだろう。
(2011年02月26日訪問)