塩木のベーハ小屋、その2。
車道から少し見おろす位置にあった。
農家の納屋が建ち並ぶ中に埋まるように建っているので、観察できる方向が限られる。
やはり片側にハシゴが付いていて、越屋根の妻まで登ることができる。
ハシゴの途中には調査窓と呼ばれる窓がある。ここから室内の上層に吊った葉の色を観察するのだという。高い場所の窓なのでハシゴを登って覗かなければならない。仕方がないのかもしれないが、あまり便利な構造とは思えない。だいいち危険だ。
越屋根の換気方法は、妻側の突上げ戸(?)と、平側のガラリ板。
「ガラリ板」とはこのように中に雨や日光が入りにくいように傾斜したスリットが並んだ開口のことで、開放したまま固定されているものをいう。つまり空気は通り放題というわけだ。
ちなみに、角度を変えて開閉できるようになったものは「ブラインド」である。
ガラリ板では内部の熱気を完全に密封することができない。したがって、内部にさらに開閉をコントロールするための天窓があるのではないか、というのが私の推理である。
もっともこの推測にはまだ完全な確信があるわけではない。ベーハ小屋の研究資料は限定されていて「折衷式」という分類の定義も詳細がはっきりしない面も残している。
ハシゴから見て反対側の妻面。
母屋の屋根は両破風切れ型。下屋はL字型。
こちらの妻面にはカマドの焚き口や煙突がある。煙突は下屋の瓦屋根を貫通しているが、上部は破損してしまっているようだ。
焚き口付近の様子。焚き口はわかりにくいが、土壁の中に耐火レンガで作られたカマドが見える。
カマドの横にある温度計は、ガラス管がL字型になっていて、尖端は室内に差し込まれていて目盛りだけが外にでているというタイプのものだろう。
2017年3月時点のGoogleストリートビューを見る限り、このベーハ小屋は取り壊されてしまったようだ。
(2011年02月26日訪問)