
民宿阿波山清のある谷筋の道はいかにも水車小屋が設置されそうなロケーションだったので、人家が切れるところまで分け入ってみた。
するとしばらく走ったところにあった食堂「渓流茶屋」の片隅に箱水車を発見。
箱水車というのは、水車の水受けが円形ではなく、このように箱で受けるようになっているものを言う。

蜘蛛手(スポーク)は4本。箱水車の蜘蛛手は、室内で杵を持ち上げる羽根木(カム)の数と一致する。
つまり、ひとつの箱に入った水で、杵を1回持ち上げるのだ。

箱水車は、ものによっては
だがこれは箱に水を入れる樋が大型なので、多めの水をかけ流して途切れなく回転できるのではないかと思う。

内部は搗き臼×1。
杵を持ち上げるカムの役割をもつ羽根木が4本あることがわかる。

取水部分を見てみた。
うん、わざとらしさはまったく感じられない。いい感じだ。

敷地の段差を利用して高度を稼ぎ、敷地境界に水車小屋を建てるという非常に自然な造りである。いかにも水車小屋が建てられそうな地形だ。
お店で訊いてみたら、案の定もともと水車があった場所に新設したのだという。
屋根の葺き方は先ほどの民宿の水車と同じなので、同じ時期に、同じ大工によって建てられたと思われる。
(2003年04月30日訪問)