草間台と呼ばれるカルスト台地から、高梁川が掘り抜いた渓谷部分にくだってきた。
石灰岩を採掘する鉱山が見えてくる。
井倉洞はその石灰鉱山のすぐ隣りにあった。
駐車場から洞口までは、土産物や食堂の並ぶ門前町のような場所を歩かなければ行けないようになっている。
好きだなぁ、こういう建築計画。
そろそろこうした構造に名前を付けたくなってきた。
「大宴会場」「団体様入口」・・・いろいろと昭和の観光を具現化するパワーワードが並ぶ。
平成になってから出来た商店街かもしれないけれど。
「井倉観光センター」。この「センター」という単語がまた濃厚な昭和な感じがしていいではないか。
あと20年したら「~の駅」みたいな単語が、薄っぺらでモノカルチャーなハコモノ感ただよう平成時代の観光を回顧させるときがくるのだろう。そのとき、平成の観光は昭和のような濃厚な娯楽としての記憶となりうるのだろうか。
高梁川の対岸に石灰岩の真っ白な崖がそそり立つ。
その中腹から滝が落ちている。この滝は鍾乳洞の水を抜くために作られた人工の吹き出し穴だ。
この崖の上は先ほど紹介した火の見櫓があった集落で川などない。流れ出ている水はすべて台地上のカルスト地形の地下水なのだ。
対岸に渡るには、この緑色の歩道橋を通らなければならない。歩道橋の手前には入場券の販売所がある。
入場料は1,000円だった。
歩道橋の上から、いま来た駐車場方面の商店街を望む。
反対側にもまだ土産物屋が続いている。
鍾乳洞に入る前から、この景観で満足度がアップしてしてしまう。
対岸の洞口。
入口は右下のほうにあり、出口は左側のかなり高所に見えている。
洞内に入ると、狭い通路になっていて、両側は鍾乳石が続く。
床は濡れているが、コンクリで平らに舗装されているので足下は心配ない。
部分的には排水のための暗きょになっている場所もある。水音が響く。
狭い通路が続き、圧迫感がある。一方通行だからよいが、すれ違いができないような狭さだ。
この日はあまり他の観光客もおらず、渋滞も追い越しもなかったので、じっくり観察できた。
少し広い空間に出る。巨大な石柱がそそり立つ。
天井を見ると、真っ黒な穴があいている。
かつてここを水が流れたのだろうか。
立入禁止の通路。工事用か。
途中からは高低差もある。
見事なリムストーン。
なんだか海の中でサンゴを見ているみたいだ。これが生物ではないというのが信じがたい複雑さ。
鍾乳石もどこか生物の胎内を思わせる。
ちょっと狭い通路。
層状の石柱。
カーテンと呼ばれる幕状の鍾乳石。
後半は人工的な洞窟を通っていく。
おそらく内部を一方通行にするために掘り抜いた通路なのだろう。
最初に入った洞口とは別の場所に出てきた。
人工滝の近くだ。
ここから階段を下りて歩道橋のほうへ戻る。
所要時間は30分程度。洞内は長いのだが、ところどころ掘り抜いたトンネル通路を通る。いくつかの支洞を連結して観光化しているのだろうか。特に後半はほとんど人工トンネルとなるため、鍾乳洞の中というより地下道を歩いている感じだ。
入場料は満奇洞と同じ1,000円、駐車場はいずれも無料なので、まぁ不満はない。あえていえば個人的には鍾乳石は満奇洞のほうが良かったと思う。私にとっては井倉洞の見どころは土産物屋街だった。
(2003年05月02日訪問)