JR伯備線の東側、高い石垣の上に寺の伽藍がそびえている。臨済宗永源寺派、頼久寺である。
またの名を、安国頼久禅寺。室町時代に足利尊氏、直義兄弟が全国に建てさせた安国寺のひとつ。
山門は四脚門。
あまり古い建築にも見えない。
境内に入って正面に方丈、、、
左側に本堂、、、
右側に庫裏がある。
・・・と見立てたのだが、寺の人に聞いたら、薬師堂→本堂→庫裏と呼ばれる建物だそうだ。
建物の外観や構造的には、本堂→方丈→庫裏でよさそうにも思うのだが。まあ、寺の人がいうのだから薬師堂→本堂とすべきなのだろう。
そもそも本堂という言葉はあいまいな言葉だが、おおむね二つの定義があろう。
一つは、その寺の中心となる最も大きな堂。これは用途や位置づけから見た相対的な呼び方。
もう一つは、本尊を祀る仏殿と仏事も行うための法堂の機能を兼ねた、内陣外陣の構造をもつ堂という意味。これは外観や構造から見た呼び方。
世間一般では前者が本堂の意味である場合が多い。
境内の片隅には鐘堂。
この寺には小堀遠州の作庭による庭園がある。
小堀遠州は、江戸初期に備中松山城を再建した人物なので、この作庭は伝説ではなくほぼ史実であろう。
拝観料は300円。
非常によく整備され、美しい庭園だ。
形式としては、蓬莱式の枯山水庭園。背後の山並みを借景にしているところが見事だ。
頼久寺は河岸段丘上にあるが、山に隣接しているわけではなく、寺の裏手には住宅地がある。生垣でその住宅街の存在を消し、背後の山並みと一体化させている。
非常に素晴らしい庭園で、一見の価値がある。
高梁市観光でもっとも優先して訪れるべきスポットではないかと思う。
(2003年05月03日訪問)