ヤンゴン市からバゴー川を渡った南のシリアム地区。スターシティやティラワといった巨大開発プロジェクトが進行中のエリアだ。そのシリアム地区の南端にチャウタンという小さな港町がある。
その港町の沖にある、チャウタン水中寺院が次の目的地だ。
寺まではヤンゴンのダウンタウンあたりからだとタクシーで1時間半はかかる。市街の渋滞の影響もあるが、意外に遠い。ヤンゴンからは半日観光という感じになるだろう。
寺の付近には門前町がよく発達している。子院のパゴダなどが点在しているが、きょうは(寺に興味がない)通訳さんが同行しているので、どうでもいい寺には立ち寄れず・・・。
チャウタン門前町の名物は魚の干物のようだ。
食べるものなのか、スープの出汁にするのかは不明だが、いろいろな干物が売っている。
果物のトウガラシ漬けの屋台。
ミカンのトウガラシ漬けはじめて見た。おなかをこわしてなければ買ったと思う。
お寺で使う参詣グッズをこのあたりの屋台で揃える。
仏花、ローソク、線香、そして、ポン菓子。
いよいよ寺へ。寺の本当の名前は「イェーレー寺院」らしいが「チャウタン水中寺院」という名前が広まっているので、当サイトもその名称を使う。
「水中」というと足摺岬とかにある水中展望塔みたいな寺でもあるのかと思ってしまうがそうではない。川の中にある島で、「チャウタン中洲寺」とでも言うべきものだ。「水中寺院」という変な日本語を作ったのはたぶん『地球の歩き方』。
島へは渡し舟で渡る。
ボートは屋根無しの素朴な櫓こぎの平底舟と、屋根付きの動力船があり料金が違う。外国人は動力船にしか乗れず、渡し賃は往復で500円。外国人割増料金だけど、毎日利用するようなものでもないし、まあ目くじら立てるほどでもなかろう。
寺がある島はもともとは水上に出ていた岩だったようだ。そこを少し拡張した人工島で、敷地全体が寺になっている。島へ電力を供給する架線がやけに目立つ。
所狭しとパゴダがならぶ独特の風景。見たら行きたくなってしまうよね。
このように島全体が寺になっているのは、今回の滞在でも行ったモーラミャインのガウンセー島が知られるが、ミャンマーにはそれ以外にもいくつかあるようだ。
渡し舟は3分ほどで島まで着く。あっという間だ。
伽藍配置図。川幅などは正確ではなく、実際は川岸はこんなに近くない。
船着き場から島に上陸して最初にある仏殿。
仏像はガラスケースに納まっていた。
その前にはシースルーさい銭箱が並ぶ。
さい銭箱の両側に花瓶があったので、ここで献花することにした。いつまでも花束を持ってウロチョロしたくないので。
この仏殿の裏手には巨大などらがある。
仏殿を出ると、補修中の建物があった。足場が組まれているが、パゴダではなく他の仏殿などと同様のミャンマー風の層塔屋根らしい。
中は最初に見た仏殿と大差なし。
この寺の中心伽藍であるパゴダ。
陸屋根の上がパゴダ、階下が仏殿という近代寺院にありがちな作り。
境内は建坪と空き地が半々くらいなので、写真を撮るにも引きが足らず、建物の外観を撮るのがむずかしい。
境内の奥のほうにある二つの仏殿。
仏殿の内部はこんな感じ。
立派な寺だとは思うが、なんだか飽きる。同じような構成の仏殿がいくつもあるだけで、奇抜さが足らない。
境内の奥からメインのパゴダをみたところ。
このヤシの木広場がこの寺で唯一広い空がある場所だ。
この広場でローソクと線香を使ってしまおう。
線香は竹ひごに塗ってある、中国スタイルのもの。見た目は花火みたいだが、これが線香。
ローソクは線香に輪ゴムで結わえてある。
ローソク立てに差し、線香に火をつける。
そういえば、これまで花や傘蓋のカザリモノを奉納したことは何度もあるが、ミャンマーで線香を奉納するのはこれが初体験だ。
とても見慣れた風景。
境内の奥には水上にせり出した聖人紹介所がある。
渡り廊下には仏教説話の絵解きが並ぶ。
内容は蛮族が仏教に帰依して平和になったとか、生前に悪い事をすると地獄に落ちるとか、わりとシンプルそうなものだった。
この聖人紹介所の渡り廊下には鉄格子がはめられているため、中を歩いているとその外観は見えない。
外から見るとこんな感じだ。
境内のもう一方の端にも水上のお堂が見える。
行ってみよう。
こちらのお堂は船着き場のすぐ横にあるせいか人が多い。
祀られていたのはシンウーパゴだった。
顔はよくある右向き。
船乗りが信仰すると言われているので、水上寺院にはふさわしいのだろう。
シンウーパゴ単独のお堂としてこれほど立派なものはめずらしい。
このシンウーパゴ堂の渡り廊下の外側はカモメのたまり場になっている。
いまこそ、門前町で買ったポン菓子を使うときだ!
なんとか空中でキャッチさせたいのだが、菓子が軽すぎて、カモメが届くところまで投げられない。ほとんどは川面に落ちて、下のカモメたちと川の魚たちの餌食となっていた。
カモメの餌付けがこの寺の一番おもしろかった場所だった。
(2017年01月10日訪問)