初めてこのトンェイン町を訪れたのは2014年のある夜のことだった。仕事の関係で町の有力者を表敬訪問したのであった。
その日は夜祭りが行なわれていて、コンサートや移動遊園地、さまざまな夜店が出て、田舎の町とは思えないにぎわいを見せていた。
その当時はまだパアンでの生活にも慣れていなくて、えらく遠いところに連れて行かれたという印象しかなかったが、いまは地理にも詳しくなり、どの道を通ってどこに連れて行かれたのかがわかるようにもなった。
そのとき夜祭りが開催されていたのが、この学校の校庭。
夜目にも立派な学校のようだったので、あのときから一度きちんと訪れてみようと思っていたのである。
看板を見ると「Basic education High school」とあるので、言葉通りに受け取れば「トンェイン高校」ということになろう。ミャンマーの高校は15~16歳の2年間だ。
田舎町の学校としてはかなり立派。
木造2階建てで、2階は南側が吹き放ちの廊下になっている。日本では北側に廊下を作るが、カレン州では官公庁の建築も含め、このように南側に吹き放ちの廊下を持つのが一般的。
暑い国なので、日射により室内が暑くなるのを回避する設計だろう。
中央のホールから両翼を広げたシンメトリーなデザイン。日本の古い木造校舎にもよく見られたパターン。
教室の数はかなりある。もしかすると中学校と高校が一緒に入っているのかもしれない。中学校は11~14歳の4年間である。
ミャンマーの義務教育は小学校(6~11歳の5年間)だけなので、中学に進学せず働いている子どもも多い。
後者の前の碑には、スローガンが書かれている。
「Our vition. To create an education system that can generate a learning society capable of facing the challenges of the knowledge age.」
校舎の両翼は日本では音楽室や理科室などになっているが、ミャンマーではどうなのだろう。
校舎の前に立っている板のついた棒は、消火設備である。火事になったときこの棒で叩いて消すらしい。学校や市場などに配備されているが、ミャンマー人も「この棒じゃ火事は消せない」と言っている。まぁ、かなりの初期消火にしか使えないだろう。
校庭はなぜか掘り返されていた。
以前訪れたときは草地だったので、一度、雑草をすべてリセットして平坦なグラウンドにするのかもしれない。
校庭の隅にあった建物。
見た通りだとすれば部室棟か。
この学校のような木造校舎は今後新たにつくられることはないだろうと思われる。遠からずこうした木造校舎が懐かしく感じられる時代がくるだろう。
(2016年12月17日訪問)