河港の近くにパステルカラーも鮮やかな山門があった。
見た目の判断では、修行用の僧院なのか、参拝向きのパゴダなのか、五分五分とういところか。でも、トンェイン町には当分来るつもりはないから、どちらであれ参詣していくつもりだ。
あとで、通訳さんに山門の扁額を読んでもらったら「皆がスプーン一杯のコメを寄進してこの門を建てる」と書かれているそうだ。
山門を入ると回廊が続く。
しばらく進むと、右手にパゴダが見えてきた。どうやら修行寺ではなく、参詣寺だった。
とは言え安心はできない。このパゴダの入口に、ヨチヨチ歩きの仔犬が何匹かいて、近くに母犬がいるのだ。ミャンマーではいたるところに無数の野良犬がいて、イヌ嫌いの人にはちとつらい国なのだ。
ほとんどの野良犬は人に向かってきたり、食べ物を盗ったりすることはない。野良といえど、長い時間人間社会で暮らしてきたので悪い性質は淘汰されているからだ。
とはいえ、仔犬がいるときは要注意だ。こっちが手出しするつもりがなくても、仔犬の方から寄ってくることもある。
何とか仔犬がこっちに来ないように、母犬を刺激しないようにパゴダの基壇に登った。
中央のパゴダの廻りに8本の尖塔がある。これまであまり見たことがないタイプのパゴダだ。あえていえば、レーケーのパゴダに似ている。
ミャンマーのパゴダは非常に多様性に富んでいる。
そのどれもが、間違いなく仏陀の栄光を表現しているが、ひとつひとつが一点モノであり、創意工夫が凝らされているので、見ていて飽きない。
いつか体系化してみたい気がする。
謎のムカデのぼり。
パゴダの片隅に、シンウーパゴ堂があった。
めずらしい左向きだ!
足下に小さな像がたくさんあるが、それらはみな右向き。
質素な鐘つき柱。
これ、第二次大戦中の爆弾か落下増槽の再利用ではないか。
寺の庫裏、というか、僧房はパゴダの裏側にあるのだが、簡単には近寄れそうにない。
パゴダには裏口もあった。
裏口を出た先は、さっきの船着き場に通じていた。
(2016年12月17日訪問)