サルウィン川西岸の道を北へ。モゥクディ村内あたりから道はデコボコだったり、砂地になったりで走りにくくなってきた。
そしてモゥクディ山のふもとまで来ると、せいぜい軽トラか荷ぐるまが1台かろうじて通れる程度の幅になって路面も荒れてきた。この時点で私は、もうモゥクディ山の東麓を通過するのは無理だろうと考え始めていた。となり村へ通じているにしては、車が通っている気配がないのだ。
山並みが間近になったところで、道ばたに小さなお寺があった。
この寺に立ち寄って、引き返すことにしようかな。
講堂と思われる建物は、机などがしまわれて倉庫のようになっていた。
メインのお堂は、
覆屋が層塔の形状で内部にパゴダがある。これまで見てきた鞘塔は壁があって、パゴダは見えないようになっているものがほとんどだった。
しかしこの鞘塔は壁がなく、そとからパゴダが丸見えになっている。
これが完成形なのか、それともこれから壁をつける予定なのかは不明。
僧房があった。
カレン州の典型的な高床式家屋だ。
沐浴場。
日本のお寺でいえば、湯屋に相当する。
内部はこんな感じ。
中心の水槽に井戸水が溜まっていて、外周で桶で水を汲んでカラダにぶっかけるのだ。全裸にはならず、たぶん袈裟を着たまま水をかぶる。
以前、サッセビーチの海の家でこの形式のシャワー室(有料)を利用したことがある。
さて、寺に参詣したあと、道が行き止まりになるところまで進んでみることにした。
道は藪のなかをかろうじてオートバイが1台走れる程度の幅で続いているが、あまりにも心もとない。
それでも、少なくとも徒歩ではまだ先へ進めそうだ。オートバイで進入し、もし石段などで進めなくなったら、その時点で引き返せばいい。
何か注意事項のようなものが書かれていた。「がけ崩れで通行止め」とでも書いてあるのかな。もちろんまったく読めないので、そのまま進むしかないのだが。
あとで通訳さんに見てもらったら、「11月26日から軍の演習があるから通るな」というようなことが書いてあったようだ・・・怖い物知らずとはこのこと。
道はそれ以上狭くなることもなく、石段などが現れることもない。
途中からは、この道はオートバイで通り抜けられると確信できるようになってきた。
モゥクディ山の東斜面は絶壁で、サルウィン川との間にはわずかな平地しかない。おそらく崖から崩れ落ちた岩が積もってできた平地なのだろう。
こんな景観の道が4kmほど続く。
途中からは心細さもなくなり、ジャングルと絶壁の雄大な風景を楽しみながら走り続ける。
やがて道は寺の境内へと着いた。おそらくここが目的地の鍾乳洞のある寺なのだろう。
モゥクディ山東麓は通行できたのだ!
(2016年12月18日訪問)