日も傾いてきたので、滞在しているパアン市方面へとひた走る。するとチャーインポロム僧院からいくらもいかないうちに道ばたに異様な光景が広がった。
例の球体パゴダが林立しているのだ。
このタイプのパゴダを初めて知ったのは、パアン・タトン街道(AH1号線)ぞいのボーダコッパゴダであった。いま走っている場所は国道からは離れているものの、おおまかにいえばパアン⇔タトンのあいだの村であり、地域的にはボーダコッパゴダと同じといっていい。
きょうの旅でも球体パゴダをいくつか見てきたので、このタイプのパゴダが多い地域なのだ。
中央のひときわ大きいパゴダは、ボーダコッパゴダの仏塔とほぼ同形である。
おもしろいことに、基礎が船の形をしている。
夕方のおつとめなのか、僧が灯明をあげていた。
遠目だが尼僧ではないかと思う。
初めて見たとき、このパゴダには不気味な印象を受けた。その後いくつか見てきたが、やはりちょっと不気味な印象がある。
その原因のひとつは、通常ミャンマー式仏塔は上部へ向けて逓減していく形状なのに対して、このパゴダは球体があるために頭でっかちで不安定な印象を与えること、そして球体に描かれた巨大な卍マークである。
だが、類型があるということはこのパゴダには何らかの意味があるのだろうと思う。
中央のパゴダ以外には、灯明を上げるための側面の穴はない。基壇部分はシンプルな円柱である。
衛星写真を見ると、パゴダは5列╳3列=15基が整然と並んでいる。
そのうちセンターの一つが船型基礎で大きいが、なぜか一つだけ一般的な形状の逓減型の仏塔になっている。
これだけの数の球体パゴダが集まっているということは、案外この場所が「球体パゴダ宗」の重要寺院なのではないか。
寺の前にはぽつんと一軒の茶屋があった。
これからまだ30km近く走らなければならないので、ここでいったんサトウキビジュースでミネラルと水分を補給する。
村境まで走ると、またゲートがあった。チャーインポロム僧院のページで紹介したゲートとは対になるものだろう。
しばらく走るとパプン街道へと出た。
この道はサルウィン川西岸の動脈となるべく、日本(JICA)の支援で改修が進んでいる道だ。まだ出来たてで路面の状態もよくスピードも出せる。
宿へもどるころには完全に日が落ちてしまうだろうが、ここからは走り慣れた道となる。
(2016年12月18日訪問)