萩市街の南西の外れ、山際にある毛利家の菩提寺、大照院。この寺を最後に萩を離れることにする。どうやら萩市はもう一度来ないとダメだな。
山門は三間一戸の二重門。かなり変な門だ。
1階部分の前側は塗籠の土壁で、中央1件にアーチ型の通路がある。竜宮門の一種といってもいいかも知れない。
山門を入って正面には本堂。
屋根は錣屋根。錣屋根は広島を中心として山口や岡山でも見かけた。中国地方に多い印象がある。
本堂の右側のほうには土塀があり、棟門の中門がある。その先は庫裏の空間になっている。
と、いうよりも庫裏の側が表で、中門を経て本堂の前庭へ入れるようになっているというべきか。
このような配置でよくあるのは、本堂らしい本堂がなく方丈になっているケース。そして方丈の前が中庭になっていて、その庭を塀で囲んでいるというものだ。京都の龍安寺の石庭を思い出してもらうといい。この寺も基本的にはその系統なのだろう。
庫裏は切妻の大庫裏で本格的な庫裏建築。
本堂と庫裏のあいだには式台玄関があり、扉は閉ざされていた。
藩主だけが利用する特別な玄関かも知れない。
本堂の裏側にまわってみた。
本堂の裏側も障子になっている。やはりこの本堂は方丈型式で、北側にも畳敷きの空間があり、障子を開ければ庭が見えるようになっているのだろう。
藩主の菩提寺といわれる寺に、方丈を主体とした伽藍が多いように思う。
本堂の右奥には書院がある。
書院は濡れ縁を廻したかなり風情ある建物だ。
ただ、この寺の建物全体にいえることだが、なんというか、整備が行き届いておらず、劣化してきているところが随所にみられる。
本堂の裏には池がある。
石灯籠は冗長だが、野趣あふれる池泉回遊式庭園だ。
いわゆる雪舟ふう庭園というやつか。
その池のほとりに土蔵の建物があった。
横にわずかなスキマがあり、その視野から経巻棚が見える。
外からはそうは見えないが、中は輪蔵になっていたのだ。右には
この輪蔵もちょっと湿度の高い場所にあるのか、痛みが進んでいる。
本堂の裏を少し入ると、毛利家墓所がある。
あれ? さっき見た東光寺の墓所そっくり。
墓所に鳥居があるが、べつに神道の墓地というわけではない。
(2004年05月02日訪問)