鹿野町の市街からほんの少し離れた里山のふもとに雲龍寺がある。
本堂は寄棟の大棟に越屋根を乗せた禅宗っぽい造り。この越屋根の造りが大袈裟になって箱棟の部分に寺紋が入ったものを当サイトでは「真田造り」と呼んでいるが、この寺の本堂はその一歩手前というところだ。
境内は白壁で囲まれている。
寺の前には7~8台は置けそうな駐車場がある。
境内に入ると、石畳の両側はきれいに整備されて枯山水になっていた。
本堂の右側には玄関と庫裏。
本堂の左側には座禅堂がある。
地方の禅院で座禅堂がある場合は、本堂の左側に配置されることが多い。
写真の堂で、正面の入口のほかに右面に勝手口みたいな小さな開口があるのが見える。関係者の入口であり、本堂側からこの入口へ雨天の際濡れずに移動しようとして屋根を掛けたらそれが自然発生的に回廊になるのだろう。
時間はもう18時近かったが、本堂にちょうど住職がいて中へ上がらせてもらえた。
庫裏(客殿?)の裏には見事な池泉回遊式庭園がある。
客殿はもうカーテンが締まっていたが、わざわざ開けてくれた。
梅、竹、松をそなえた松竹梅を配した庭園で、400年の歴史があるという。
紅葉のころが美しいというが、ツツジも楽しめるので5月でも充分に堪能できる。
池には睡蓮がある。夏にはたくさんの花が咲いて、鯉が見えなくなるほどだという。
庭はそのまま里山につながっていて、このあたりの山は鹿野城主・亀井
この寺の地所は
住職から本堂の左のほうから石段を上がると愛宕神社があると案内されたので、行ってみることにした。
200段の石段があるとのことだったので、普段ならば行かないと思うのだが、庭園を見せてもらえてちょっといい気分になっていたのだ。
石段の途中にある火伏堂。
まっすぐの石段が続く。
愛宕神社の境内に到着。
拝殿正面の左には巨大な火箸が奉納されている。
右側には巨大な十能。
愛宕神社は多くの場合火伏せの御利益があるとされ、火を扱う職人が奉納したのだろう。
雲龍寺の前は水田が広がっている。
この水田は水谷川という川が運んだ扇状地の扇頂で、両側は舌状の山脈に挟まれている。愛宕神社もその尾根にある。
奥には標高920mの
水田の両側には小さな集落があり里山になっているのだが、その尾根は鷲峰山まで途切れずにつながっている。つまりここは「里山」から「奥山」までがシームレスなのだ。おそらく奥山は熊も出るような場所だろう。
このように人里から奥山までがひとつながりになった景観というと、私はこの場所を思い出してしまう。
(2005年05月02日訪問)