溶岩第1トンネル・幽鬼洞

2001年に死者を出している小さな溶岩洞窟。

(島根県松江市八束町遅江)

華蔵寺を発ち、次の目的地である大根島(だいこんじま)へと向かおうとしたが時刻は11時すぎ、お昼が近い。このエリアでお昼どきであれば、どうしても素通りできないお店がある。それは美保関町の入口にある「味処まつや」だ。新鮮な海の幸がとてもリーズナブルに食べられるお店。

私は普段、旅の最中の昼食はコンビニ飯で済ますことにしているのだが、本当にこの店だけは素通りできない。バカのひとつ覚えみたいに入店してしまう。徳島に住んでいれば鮮魚の美味い店もいくつも知っているが、それでもまつやは特別なのだ。土曜日でちょっと混雑していたが、美味しい海鮮料理で満腹に。

でもここで1時間半以上を消費し、次の目的幽鬼洞に着いたときには12時半になっていた。

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大根島は中海の中に浮かぶ平坦な島なのだが、由来は火山である。そして溶岩洞窟があるという。そのうちのひとつがここ幽鬼洞である。

溶岩洞窟にありがちなのだが、山深い場所にあるのではなく、溶岩原台地の平坦部にあるというパターンである。

ここも周囲は住宅地で、山などの目印もないので探すのに苦労した。

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この溶岩洞窟では4年前に少年が友人らと洞窟探検をしていて遭難死するという事故が起きている。

そのため立入りが許可制になっているという話は聞いていたので、行くだけ行ってみて、もし柵などがなければ入ろうと思っていたのだが、しっかりと柵が作られていた。

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ただし「ここは貴重なものだから、物見遊山のよそ者には簡単には入らせませんよ! 自分たちは研究者なのでいつでも入るけどね」というよそよそしい感じではなく、連絡すれば入洞させてくれるみたいだった。

とはいえ、役場が休みの日の午後に電話して「今から入りたいんだけど」というのもないだろうと思い、電話はしなかった。その辺のあきらめはいいほうなのだ。

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そもそも私は自治体や町おこし団体が主催する見学会というのがきらいだ。

案内人が準備した内容の範囲だけで、案内人の見せたい物だけを見せられるだけというパターンが多いし、おしゃべり好きだけどコミュ障の学芸員や郷土史家が得意になって話しはじめれば、ゲストは案内人を楽しませるだけの存在になりはてるイベントになりがちだからだ。

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この洞窟に関していえば、2001年の事故が起きる前に入洞すべきだったのだ。

来るのが遅かった、縁がなかったということである。だからこそいまあるものを見落とさずに「見る」ことが大切なのだ。

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内部はこのようになっている。

おそらく少年が死亡したのは新洞という場所。小さな洞窟だが水没している箇所があり、狭洞に這い込んでそこで溺死したのだろう。

(2005年09月03日訪問)

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