チャーインポロム村のゾウ

建設中の僧院の敷地にゾウがいた。

(ミャンマーカレン州パアン)

きょうも昼をはさんで4時間ほどの時間が空いたので出かける。4時間あれば、片道1時間の場所に出かけて、1時間滞在し、1時間で戻ってこれる。残り1時間はオートバイがパンクでもしたときの予備時間だ。

きょうの探索エリアは、ワブドゥ村からパプン街道を入ったあたり。行くとなれば迷っていては時間がなくなるので、頭の中で移動ルートを組み立ててすぐに出発。

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きょう、なんとしても確認しておきたいのはチャーインポロム村の鍾乳洞探索候補地。

まず仮称チャウタロゥ山を目指す。以前にチャーインポロム山上伽藍へ登ったときに通った道だ。

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この道の突き当たりには直登のパゴダ群があり、そこが以前に登った場所になる。

今回はこの突き当たりを右にそれて、森の中を進んで隣りの山すそを目指す。衛星写真を見ると、そこには山の崖に向かう道とパゴダ状のものが見える。

下の写真のように、道が崖で行き止まりになっているなんて、怪しすぎるでしょ? これまでの経験からいうと、十中八九、ここには洞窟寺院がある!

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山上伽藍があった山すそには白いパゴダが並んでいる。

この道を右側に山を巻くように進んでいく。

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けっこうな数のパゴダがある。本来なら前回、山上伽藍を訪れたときにここも見尽くしておくべきだったのだ。

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パゴダが切れると道は森の中になる。

周囲はたぶんチークの人工林。その森でインの木の葉を集めて屋根材を作っている人々がいた。森に出造り小屋を建てて仕事をしているようだ。

「イン」の木の葉を「インペ」といい、その葉で作った屋根材を「インペアモウ」という。

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屋根材は葉を竹ひごで編み込んだもので、10枚100円程度で安価なものだ。ただし自然から採集するので原料代はタダ。

安価とはいえ、もし1日に50枚も編めれば法定最低賃金くらいにはなる。

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山すその開けた土地に建築中の僧房があった。

山上伽藍の本坊にあたる部分だろう。

あれ? 矢印のところで何か動いてる!

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なんと、ゾウがつながれてる。

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オートバイを停めて興味深そうに見ていたら、飼い主のおっちゃんが近寄ってきた。

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おそらくこのあたりに外国人が来ることはめったにないので気を良くしたのだろう。家にもどって餌になるバナナの葉を持ってきて、食べるところを見せてくれることになった。

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バナナの葉の先の部分を与えると、鼻で葉の部分を器用にこそぎ取って食べた。

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ゾウはまだ子どもで、名前は「ヤダナ」というのだそうだ。「ヤダナ」はミャンマー語で「宝石」の意味。

前脚はくさりでつながれていて、あまり歩き回ることはできなくされている。ゾウはウシやイヌみたいに家畜化された生き物ではないから、残酷といえば残酷な感じがするが、この国は歴史的にもゾウを生活に使ってきたのだから、私たちがとやかく言うことではない。

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私にも餌やりさせてくれて、わざわざ写真も撮ってくれた。

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初めて、ゾウに触った。

これまでゾウの餌やりといえば、小田原城でミカンを投げてやったり、徳島の動物園でアクリル板越しに人参スティックをやったことがあるくらいなのだ。

感触は、、、まぁ、想像通り。

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カレン州の奥地にはたぶん野生のアジアゾウが生息しているし、営みのために、そのゾウを調教して開墾や輸送などに使っている人々がいる。

以前にその様子を紹介したこともある。だがそうしたゾウ文化もミャンマーが経済発展する過程でいずれ失われ、そう遠くない将来、保護施設の中に残るだけになるだろう。それはもはや文化とはいえず、見せ物でしかない。

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職場に戻ってから「きょうゾウに餌やったよ」と話したら、「ゾウ好きか? ゾウが欲しかったら買ってきてやるよ」と言われた。

たぶん冗談ではなく、カレン州ではまだゾウを買うことができるのではないかという気がする。

(2019年03月06日訪問)

ゾウと巡る季節

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