土庄の宿にチェックインしたとき、宿の人に「今夜、近所のお寺でキャンドルナイトがあるから行ってみたら?」と勧められた。
私は町おこしイベントというものにはあまり興味がない。
でもせっかく宿の人が言ってくれたので、行ってみることにした。
よくよく聞いてみると場所は宿からは3kmくらい離れているので徒歩で行くのは無理。車で近くまで行き、あとは徒歩。暗い参道を歩いていくと、お寺の境内に明かりがともっているのが見えてきた。
寺の名前は宝生院。小豆島八十八ヶ所霊場の第54番札所である。
境内に入るとけっこう人が来ている。
境内にはキャンドルで順路が作られていてそれに沿って進んでいく。
このお寺の本坊は第54番札所だが、境内にはほかに第51番、第52番の札所もあって、1つの寺で3ヶ所の札打ちができるらしい。でも境内は真っ暗だから、確認のしようがない。
とにかくみんな奥のほうへ行くから私も行くしかない。
途中のお堂の前でお坊さんが読経している。
中々おもしろい趣向だ。
本堂と思われるところに行列が出来ていた。
近づくと、世話人のような人が「さ、さ、こちらに並んで本堂に入ってください、法要が始まります」みたいに案内してる。
自分は檀家じゃないと告げたが、檀家じゃなくても大丈夫とのこと。
ここでも回向柱が立っていて、人々が順番に善の綱を引いていた。
白装束の遍路姿の人が多い。でも小学生のような子どももいるので、私も気軽にその列の最後尾に並んだ
本堂の外陣には立派な欄間彫刻があり目が奪われる。
列の最後尾は私だったのだが、私が本堂に入ったとたんに本堂の扉が閉め切られた。
「え? 途中退出禁止なの??」
お坊さんが読経して、ほどなく参加者全員で、般若心経の詠誦が始まった。横の小学生もちゃんと唱えてる。いまこの空間で般若心経を唱えてないの、自分ひとりだけじゃん!
般若心経、紙見れば読めるけど、ソラでは言えないのだ、ん~はずかしい。
東京の音羽に住んでいたときクリスマスイブになとなく近所の教会のミサに行ってみたら、賛美歌歌えないの自分だけだったとき以来だな。
そういえば徳島県の小学校では毎朝放送で般若心経が流れるから、どんな子どもでもソラで言えるらしい。香川県でもそういう風習があるのだろうか。
般若心経が終わったら、本堂の扉が開かれ、人々は解散していった。
キャンドルナイトって聞いたのに、ちょっと敬虔すぎない? チャラいカップルとか全然いなかったし、そもそも町おこしイベントじゃないだろこれ。
こうして小豆島の1泊目の夜は更けていったのだった。
後日、明るい時間帯に再訪した。
(2007年10月06日訪問)