積善館・四万温泉

本館は元禄時代に建てられたという。

(群馬県中之条町四万)

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きょうの宿泊地、宿は四万温泉の積善館。本館の建物は元禄時代(江戸前期)といわれている老舗旅館だ。

ところで、昨年(2008年)にテレビでスタジオジブリの社員旅行で積善館を利用していたという内容が放送され、降って湧いたように積善館が『千と千尋の神隠し』(2001年公開)のモデルと言われるようになった。

え、そうなの? プロデューサのリップサービスじゃないの? 映画公開後、去年まで誰ひとりそんなこと言ってなかったよね? 社員旅行で利用した日付と、映画のアートワークが描かれた日付の前後関係をちゃんと検証した? 映画を観たほとんどの人は映画のモデルは道後温泉の本館だと思ってきたし、捕捉として何かを付け加えるとしたら台湾の観光地九份(きゅうふん)だと思ってきた。

でもたぶん今後は積善館もモデルのひとつだとという風説はSNSなどにコピペされる膨大なテキストによって統計的に真実に押し上げられていくのだろう、なんか釈然としないが。そして将来ここを訪れる人は脳死的に「わぁ~ジブリみたい」って言うんだろう。

なお、私は『パンコパ』以後の宮崎氏の映画はすべて劇場で観てきて、どちらかと言えば好きな作家なのだけど、風景に対して「ジブリみたいな」という形容した文章、蛇蝎のごとく嫌ってることはここで付け加えておきたい。

とはいえ、映画の元ネタ問題は別として積善館の入口の入口の特に夕暮れ後の雰囲気はかなり良いので、宿泊しなかったとしても見に行く価値はあると思う。もっともこの場所は実は現在は積善館の裏口みたいな場所で、フロントはないし駐車場もないので、泊まりに行く場合は別の道から山の上のほうにある新館へ行くべし。この部分は積善館の中でも古い場所で、新館からはエレベーターとトンネルを通って降りてくることができる。

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橋の上から上流側を見たところ。

渡り廊下の右側の明かりの点いていない建物は古い湯治宿のままだ。

四万温泉というと私が子どものころは「団体旅行ブームに乗り遅れた娯楽のない温泉地」というイメージで、下宿みたいな自炊宿に外からお総菜を売りに来る物売りがいるようなさびれた湯治場という印象だった。

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新館と本館をつなぐトンネル。

まあ、このあたりが『千と千尋の神隠し』を彷彿とさせる部分ではある。

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入口の付近にあるアーチ窓が特徴的なのが「元禄の湯」。

昼間の時間は日帰り入浴でも利用できる。

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元禄の湯前にある飲泉所。

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元禄の湯の内部。(写真は宿のサイトから借用。)

私たちが宿泊した日はGWというのに、元禄の湯はこんな感じで誰も入浴していなかった。

ここは髪や身体も洗えないから宿泊者にとっては物珍しいネタ的な浴室で、見学だけで入浴しないのかもしれない。

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浴室については見たとおりのところなのだが、行ったら忘れずに入りたいのが"⇩"のところの小さな扉。

この中に温泉の熱を利用した一人用の低温サウナがあるのだ。狭い上に扉を閉めると真っ暗になるので閉所恐怖症の人は入れそうにないけれど。

ほかに、左側の棟に同じくらいの規模の岩風呂の内湯がある。そちらは混浴。そこも日帰りで利用できる。

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宿泊客がいる新館には別に広い露天風呂があり、どちらかというとこちらのほうが気持ちがいい。身体も洗えるし。泉質は低張性中性泉で、臭いや色は感じられないが、無加温、無加水の掛け流しで申し分ないお湯。

四万温泉は「草津の上がり湯」と言われ、成分の強い草津で湯治したあと、四万の湯で体を整えるのだという。実際、志賀~草津近辺の温泉って帰ってくると2日くらい体が硫黄臭くなるから、わかる気がする。

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元禄の湯付近の古い建物部分は見学できる。

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元禄の湯の上のあたりの部屋。

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当時の高級な部屋。

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それ以外の部屋はこんなだったのだ。

万座温泉の日進館が火事を出す前に湯治宿部分に泊まったことがあるけれど、こんなだった。冬期で、廊下には吹き込んだ粉雪が積もっていた・・・。

いまでもときどき悪い夢の中で、こういうセキュリティ皆無の巨大木造旅館に泊まることになる場面が出てくるよ。

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建て増しを続けた旅館、っていう表現がぴったし。

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えらく複雑な中央階段部分。

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川の反対側の古い宿泊棟。

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もしかしたらいまも泊まれるのかもしれない。あるいは季節従業員の寮にでもなっているのか。

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夕食後、少し温泉街を散歩してみた。

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渡り廊下がある温泉地って、個人的には信用度が高まるのだ。

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開いているお店は少ないが、ラーメン屋がやっていた。

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アーチ看板。

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高いところにも渡り廊下。

中々に立体的な風景。

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GWというのに人が少ないな・・・。

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いい感じの路地。

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日帰り温泉、河原の湯。

無料だが営業時間が15時までと短い。まだ一度も入ったことがないが、いつか入ってみたい。

(2009年04月30日訪問)