B29爆撃機墜落地点

空中接触した2機が落下したという場所。

(群馬県邑楽町秋妻)

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玉取神社の西側には広々とした田んぼが広がる。南上州の山並みに太陽はすでに沈んで、空は夕焼けに染められている。

この田んぼの中に、太平洋戦争末期に米軍の爆撃機B29が墜落したという場所がある。

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といっても、残骸などが置いてあるわけではない。またおそらく土地改良も進んで当時の圃場とは違っているだろうから、当時の面影すらないだろう。

いまは看板が立っているだけである。

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B29は太平洋戦争の末期に投入された高性能の爆撃機で、日本の敗戦を決定づけた主要都市への無差別爆撃や、原子爆弾の投下でも知られる航空機。高度1万メートル以上を巡航でき、現代の旅客機のように機内は与圧、空調されていた。

当時の日本の航空機と比べると、あらゆる点で進歩した機体だったが、高高度からの精密爆撃では爆弾が正確に目標に命中しないため、日本の防空能力が低下した終戦まぎわには低い高度から焼夷弾を投下するような使われ方をしていた。

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そうした使われ方では高射砲に撃ち落とされることもあって絶対安全というわけではないし、それ以上に軍用機という性質上、機体トラブルや燃料切れなどで墜落することも少なくなかった。

B29というと高射砲も迎撃機も届かない高度で空調の効いた機内で安心安全に爆撃任務ができそうというイメージだが、実際には平均して数%が墜落していたのだ。

30回に1回墜落する旅客機に乗りたいか、というハナシなのである。

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ここに墜落した Deaner Boy と Slicks Chicks の2機も空中接触が原因だった。

それとてぼんやりしていて衝突したのではなく、おそらく迎撃機の攻撃を回避しようと死に物狂いの回避運動のなかで僚機と接触してしまったのだろうと思う。

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墜落したのは1945年2月10日、太田市にあった中島飛行機の工場を爆撃するのが目的だった。

2機の主要部分が墜落した位置。搭乗員23人は全員即死だったという。

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案内板によれば Slicks Chicks が墜落したのがこのあたり。

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Deaner Boy が墜落したのがこのあたりということになる。

(2021年11月19日訪問)