ある冬の寒い日。前橋に住む友人と久しぶりに遊びに行こうという話が持ち上がった。友人は埼玉北部の古墳を見たいと言っていて、私は砂丘が見たかったのですぐに話がまとまった。
そうしてやってきたのが、埼玉県加須市の遊園地、むさしの村。
写真のアカマツが生えている丘陵が砂丘なのである。
砂丘というと日本人の大多数は鳥取砂丘を思い浮かべるだろうし、それ以外に全国各地の海岸沿いにも砂丘はある。
だがあまり知られていないのが内陸砂丘だ。サハラ砂漠やアラビア砂漠などは大陸の内陸地方に発達しているのでそれを想像してもらえばいいわけだが、内陸砂漠が発生するにはさまざまな条件が必要で、どこにでもあるというものではない。その貴重な砂丘が埼玉県北西部にあるのだ。
その埼玉の内陸砂丘を代表するのが加須市の
遊園地むさしの村の敷地の大部分を占め、そこから東に県道38号線に沿って東武伊勢崎線のあたりまで断続的に続いている。
GoogleMapsの衛星写真で帯状の林が見えるが、これらが砂丘だ。
丘陵になっているのがはっきりとわかる。
現代では新しく砂が運ばれてくることはないから、植物が土を作って林になってしまっている。
海岸砂丘のような砂山を想像していると、これが砂丘だと気がつかないかもしれない。
砂丘北側の斜面。
樹種にはアカマツが目立つ。
アカマツは根に細菌を共生させていて、ほとんど有機物がない岩山や砂地でも生長できる。アカマツが優先するのは海岸などの痩せた土地である。
地表を見ると確かに砂の山だということがわかる。
この砂丘はすぐ近くを流れる会の川の自然堤防で、その上に季節風で運ばれた砂が堆積して出来ている。
季節風が吹き当たる北側は傾斜が緩い。
南側は傾斜がきつくなっている。
このあたりの砂丘の高さは県道から6~8mくらいはあるのではないか。
(2022年02月11日訪問)