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埼玉・武蔵野をゆく

2012年に群馬に転居してから、隣県である埼玉へ出かけた記録。そこには大学時代の4年間を過ごした懐かしい風景がまだ残っていた。

広域地図

埼玉、そこは思い出深い土地だ。

私は大学の4年間を埼玉県の川越市で過ごした。初めての一人暮らし。多感で悩み多き4年間を古い町並みの残る商都で送ったのだった。工学部の大学生は言うほどヒマな時間はなく、ひたすら授業とレポートに追われていた記憶が勝るが、それでも近くの町や村を見て回ることはできた。

そのときに感じたのは、私の生まれ故郷の群馬と、埼玉(特に県南の武蔵野地域)には風土的にかなりの違いがあるということだった。

群馬県は山がちな土地だが、そのぶん、平地が徹底的に開墾されている。森は山間地にしかなく、平地部分はすべて町か畑なのだ。

それに対して埼玉県では平地部分に森がある。もちろん、原野としての森ではなくバイオマス資源としての薪炭森(里山)で、森と田畑がパッチワークのように配置されているのだ。そのため平野部での山や川の風景は群馬県よりも埼玉県のほうが圧倒的に豊かだった。それも東京に近いほどそれが濃密になっていく。見沼(みぬま)田んぼや三富(さんとめ)新田などがその典型例だ。

2012年に群馬に戻ってから、改めて隣県である埼玉を訪ねてみることにした。そこにはまだ変わらない武蔵野の風景が残されていた。