下自在のサイフォン式水車

揚水水車とサイフォンの組み合わせ。

(大分県豊後大野市緒方町下自在)

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下自在の石風呂を探して旧街道を行ったり来たりしていたときに、用水路に揚水水車が架かっているのを見かけた。水面より高い田んぼに水を入れるための装置だ。

揚水水車は緒方上井路(いろ)という用水路に設置されている。緒方上井路にはかなりの勢いで水が流れているので下掛けの水車が稼働できる。揚水水車は私が10年間暮らした徳島県にもいくつかあるけれど、中国・四国・九州地方が主な分布域みたいで、関東のほうで実用で残っているのを見たことがない。ちゃんと探せばあるのかな?

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この水車は全体的に木造部分が多いが、観光のために作られたオブジェではなく、実際に使われているものだ。

しかも特徴的なのは、組み上げた水をサイフォンに入れているという点。川から離れた高度のある田んぼに水を揚げているのだ。そのため、水輪の直径も大きく迫力がある。

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組み上げた水は木製の樋に注がれたあと、このサイフォンに流し込まれる。

➡ 動画

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サイフォン部分は水圧がかかるので石造。

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仕組みとしてはこんな感じになっている。

同様の仕組みのものを以前岡山県で見たことがあるが、この物件のほうがフォトジェニック。

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実際に水を流し込むという田んぼに行ってみた。

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この白いパイプから注水されるようだが、水は流れていなかった。

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水車からはそれなりの水量がサイフォンに送られているのでその水はどこかに行くはずなのだが、どこへ消えてゆくのかよくわからなかった。

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揚水水車から70mほど下流にも揚水水車のフレームがある。

➡ 場所

こちらは鉄製で、稲作のシーズンにだけ設置されるのだろう。岡山でよく見たタイプ。

なお、案内板にはこの用水には揚水水車は2ヶ所だけと書かれているが間違いで、上流までたどると他にも実用水車がある。

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水車の近くで見かけたブロック造の祠。

弘法大師かな。

➡ 場所

(2012年03月25日訪問)