
徳島市八万地区の字「花房」は園瀬川と段丘崖に挟まれた半月形の土地で、3ヶ所ある沈下橋のどれかを渡る以外に到達できない場所だった。
私が徳島に転居してきてすぐ、沈下橋のひとつ花房橋が抜水橋に掛け変わったので、ようやくどんな天候のときでも行き来ができるようになったのだった。

さて、その花房集落へ行ってみると、徳島市内から続く古い道は地図のピンク色のルートだということがわかる。隣り村の田中へのルートも地図の上では自然につながっている。
だが、実際には花房と田中のあいだに橋はなく取水堰があるだけなのだ。

その取水堰のある場所へ行ってみた。
逆アーチ型の女性的な雰囲気の堰で、可動部分はなく、すべての水がオーバーフローするようになっている。

道路から河道へは石段があり、道は自然な感じで堰体上に続いている。

堰の上はわずかに傾斜があるが歩いて渡れそう。
スッテンコロリンしたくないから歩かなかったけれど。

堰の対岸の田中集落側にもそのまま道がつながっている。
この堰の場所にはかつては橋があったか、あるいは、もう少し歩きやすい堰があって、人の往来があったのではないかと思われた。

ちなみに、この堰には魚道はない。
園瀬川を行き来する生き物はこの段差を問題なく越えていけるのだろう。

園瀬川は上流に佐那河内村があるが水はきれいだ。
夜、この堰に来て水面を照らすと、モクズガニやウナギを見ることができる。
(2006年12月30日訪問)