私は眉山の裏側のほうに住んでいて、職場は徳島大の付近なので
主要幹線道路との交差がほとんどアンダーパスで信号が少ないから渋滞知らずで職場まで行けるのである。
堤防道路からは鮎喰川の河川敷がよく見える。
河川敷はほとんどが畑や田んぼになっている。河川敷に土地を所有できるとも思えないのだが、古くからの既得権でもあるのだろうか。
途中唯一の信号である弁天橋南詰めで信号待ちをしながら畑に目をやると、んん!? 電柱の付け根のあたりに何かいる!?
キジのオスが朝からなわばりアピールか?
ご苦労なことだ。
さて、その鮎喰川右岸の堤防道路を走っていると、吉野川への合流点に近い場所に頼りないような流れ橋がある。通称「こんにゃく橋」である。
この道を通れば誰でも気がつく物件だ。私は毎日通勤で通っているから少なくとも500回はこの橋を目にしてきたのだが、朝のせわしない時間だから一度もじっくり見たことがなかった。
いつか写真を撮ろう、撮ろうと思いながら2年が過ぎていた。
ところが昨年の台風の増水で橋桁が流されて、通行不能になったのだ。
こうしたものはしばらくすると修復されるから、渡れるようになったら今度こそ写真を撮りに行こうと思っていたところ、半年たっても修復されないではないか。
もしかして廃橋になった?
一度も渡らないうちに?
確かにこの橋を利用している人を見たことがなかった。廃橋になっても不思議ではない・・・。
何百回も横を通りながらなぜ一度も立ち止まらなかったんだろう・・・何をやってるんだ、バカか私は。
このままではやばいと思い、損壊状態であっても写真を撮っておくことにした。
橋へ行く途中にあった看板。
こんなところで泳ぐ子どもがいるのかね。
このあたりは汽水域でシジミが捕れるから潮干狩りをする人はいそうだけど。
少しでも渡れる部分があれば橋上を歩いてみたいと思っていたが、橋台のところからすでに橋桁がもぎ取られていた。
橋脚はコンクリート製で現在のところすべて健在だが、橋桁は橋の中央あたりにかろうじて残っているのみでほとんどが落下してしまっている。
こんにゃく橋の正式な名前は「浜高房橋」というそうだ。ここには大正8年まで渡し舟があったのが廃止され、代わりに対岸の人たちが木造橋を造ったのがはじまりだという。
幅員は1m、橋長は210mもある立派な橋だった。
橋桁は太いワイヤーで結束されている。
橋桁が高いので人力で戻すのはほぼ不可能ではないか。
健全なうちに自転車で上を走ってみたかったなぁ。
このことがきっかけとなって、その後私は橋の写真を撮るようになったのである。
それから3年後の2007年に、こんにゃく橋は橋脚ごと撤去された。
(2004年05月05日訪問)