吉野川中流の商都、池田町。かつて葉タバコの集積とタバコ工場で繁栄した町だ。
昭和末期に、部員11人の野球部で甲子園を湧かせた池田高校は写真中央の運動場が見える場所にある。
これまで吉野川を下流から見てきたが、徳島県内において吉野川はおおむね中央構造線という断層にそって一直線に流れている。
それが池田町のところから、90度南に向きを変えて先行河川になってゆく。
中央構造線の谷はどうなっているかというと、馬路川という盲腸みたいな小さな川になっている。これから紹介する橋は、この馬路川にかかる小さな沈下橋だ。
きょうは池田町でタバコ農家を訪ねているのだが、その途中で崖屋の三階民家を見かけた。
「あっ三階民家発見、写真を撮っておくか」
と車を止めて橋の上から民家の写真を撮った。そのとき、後ろを振り向いたら小さな沈下橋が見えた。
こちらがその沈下橋。
わざわざ橋の近くまで行けばよかったのだが、このときはそこまでの熱意がなく、次のタバコ農家へ向かったのだった。
ストリートビューで見てみると、橋桁の下流側に鉄板が付いている。
増水時のガードのためなら上流に付けそうなものだと思ってよく見ると、パイプが橋に取り付けられていてそれをガードするための鉄板のようだ。水道管でも渡っているのだろうか。
この橋が、「阿波國すきま漫遊記 第4話」で紹介する最後の橋となる。
徳島の県南には多くの吊り橋があり、ほとんど紹介できていないし、沈下橋/流れ橋についても県南や山間部にあとどのくらい漏れがあるかもわからない。言い訳になってしまうが、橋だけを探して出かけたことはほとんどなく、移動の途中で見た橋の写真を集めて本章は書かれているからだ。
それでも、吉野川、鮎喰川、園瀬川、勝浦川、那賀川の本流については網羅できているはずだ。今後は他の地域で沈下橋を見たときには、近影などをきっちり残していきたいと思っている。
(2009年08月18日訪問)