上勝町の市街地らしい市街地は、勝浦川に支流が合流している場所にある。ひとつは藤川谷川との合流点「正木」で、もうひとつは旭川との合流点「福原」だ。
こうした市街の成立は、渓口集落の一種なのではないかと思う。支流は奥深く、戦後には多くの山仕事があり、人や物資が集積する場所だったのだろう。
ここはその渓口集落のひとつ福原。小字でいえば「落合」という集落で、現在も商店があり日常の生活品が買えるし、ガソリンスタンドや旅館もある。
勝浦川左岸にある旅館「吉積」。家からは宿泊するほどの距離ではないけれど、一度泊まってみたい。
玄関が現在も障子ってすごくない?
現在はアユ釣りや山歩きの人たちが主に利用しているのではないかと思う。
こちらはもと理髪店かな?
つぎ足したみたいな3階は、ほぼ2階と同じ高さなので、内部は屋根裏まで使った秘密基地みたいな部屋だろう。
こちらは自転車店。
道路と背後の崖のあいだにはわずかな土地しかないため、3階建てで部屋を確保している。
勝浦川の右岸はいまは静かな集落になっているが、旅館のしもた屋と思われる建物もある。
こんな感じの風景は穴吹川、貞光川、半田川の上流にもあるので、剣山地独特のものといえるのではないか。
これで、徳島の水車小屋を訪ねた記録はおしまいである。
徳島県内の水車小屋をこれまでに23ヶ所を紹介した。でもこの数が徳島に実際に残る水車小屋の10%程度なのかあるいは90%くらいなのかがわからない。その手応えが持てないくらいにしか水車小屋を見ていない、そういう実感なのだ。
おそらく丁寧に探してゆけば、まだ水車小屋を見つけることはできるんじゃないだろうか。
(2008年07月19日訪問)
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