無念堂と水車

赤穂浪士磯貝十郎左衛門の生家跡にある水車。

(徳島県つるぎ町貞光家賀道上)

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家賀の集落内を通過する県道255線。これはおそらく古くからの街道なのだろう。家賀地区の小字は、この道路の上側を「道上」、下側を「道下」と分けられている。

その道端に立派な茶堂がある。案内板によれば名前を無念堂という。近くの西福寺の持ち物でもとは護摩堂だったというが、どうもそういう感じはしない。3間吹き放ちのよくある四ツ堂形式のお堂だ。

西福寺は端四国88ヶ所の札所だが、この四ツ堂が札所でもよかったのではないか。

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この茶堂がある場所は、赤穂浪士磯貝十郎左衛門の生家の跡なのだそうだ。

こんな山奥から赤穂藩の武士が出ているのか。いや、いまは山奥に感じるが、以前はもしかして林業やタバコでけっこう開けた場所だったのかもしれない。

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この場所に個人が設置したと思われる水車がある。

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素人が日曜大工で作ったにしては手慣れているから、作者は大工さんかな。

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水輪の横には臼と杵が置かれているのだが、心棒は鉄製で羽子板もついていないことから杵に動力が伝わっていない。

何がしたかったのかよく理解できない。まだ未完成でこれから改良していくのだろうか。

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一般的な水輪は輪板に羽根板を差し込んだ構造なのだが、これは木箱を挟み込んだような造りになっている。

言ってみればこれは箱水車の一種なのかもしれない。

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仕事をしない水輪はたいていすぐ忘れてしまうのだが、ここは四ツ堂と並んであることから印象に残った。

(2006年12月17日訪問)

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