
江戸時代に江戸と上州藤岡を結ぶ「児玉往還」と呼ばれる街道があった。中山道の脇街道で「姫街道」とも呼ばれる。現代では漠然と国道254号線が姫街道というイメージだが、実際の児玉往還は国道とはずれた場所を通っていて、ほとんどの箇所でいまも古道をたどることができる。
その児玉往還の古道が越辺川を渡る場所にあるのが島田橋である。

古い街道らしく、道ばたには石仏が並ぶ。

水神が水辺らしい情景。

島田橋は昔ながらの沈下橋だ。
島田橋の前後では児玉往還は県道になっているが、このわずかな区間だけは市道。
抜水橋に架け変わってもおかしくない旧道なのだがよく旧態のまま残ったものだ。

橋脚、橋桁、橋床ともに木造で、時代劇のロケで使われることもあるという。

基本的な構造は八幡橋と似ている。水圧で橋桁が外れて再利用できるタイプではなく、沈下したまま水圧に耐えるタイプ。耐え切れなければ壊れて一から造りなおすことになる。
どのみち木材の耐用年数があるから、ときどき掛け替えは必要だ。橋脚を見ると比較的材木が新しい。最期の掛け替えは7年前(2015年)だったようだ。

行政からすると不規則な更新が必要となる厄介なインフラなので国の補助を受けて抜水橋にしてしまいたいところなのだろうが、橋の南詰めの集落内が狭く、取付け道路の用地買収がおおごとになりそうな割に交通量も少ないので放置されているのではないか。
交通量が少ないといっても廃橋にしてしまうには歴史がありすぎる。

八幡橋が15年程度しか持たなかったのを考えると、島田橋も2030年ごろにはもう一度掛け替えが必要になるのかもしれない。

木造の架橋技術を残す意味でも、ここくらいは木造のまま維持してもらいたいものだ。

橋の北詰め。

橋上から見た上流の風景。

橋上から見た下流の風景。
やっぱり八幡橋のほうが川幅が広いので見栄えがする。
でもまぁ、冬枯れた河畔林の高い枝にビニールが引っかかってる風景って川が生きているって感じがするので嫌いではないのだけどね。
(2022年12月08日訪問)