槻川小横の飛石

橋としての必然性がない場所にある飛石。

(埼玉県東秩父村御堂)

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東秩父村は先ほどまで紹介していた地域の大河原村と、現在の村役場などがある地域の槻川村が合併して生まれた村だ。

旧槻川村エリアに村名を冠した、村立槻川小学校がある。その学校の横に陣川橋という道路橋が架かっている。この道路橋には歩道がないため、20mほど下流に歩行者専用橋が架けられた。

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それがこちら陣川歩道橋である。

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その歩道橋からさらに40mほど下流に飛石がある。

これはおそらく東秩父村で唯一、埼玉県の川の再生プロジェクトの予算によって造られた河川構造物だ。

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左岸は河原、右岸は円弧状の石段が造られた。

これまでたくさんの飛石を見てきたが、多くは近くに橋がなく飛石を近道に利用できる立地にあった。もちろん通勤通学に利用する人がいるような場所ではないが・・・。

だがこの飛石はすぐ近くに歩道橋があるし、一度河原に降りて登る手間を考えると学校への近道とも言えず、日常に利用する必然性がほぼない。

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もし利用者が多い場所に飛石や沈下橋を新規に造った場合、出水で壊れたときには修復する必要が生じる。大規模に壊れれば、すぐに数百万円という修理費が発生するだろう。

村は将来負の遺産になるようなインフラを持つことを嫌って、壊れても誰も困らない場所を選んで川の再生プロジェクトを受け入れたのではないか。

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飛石の構造はフタ付きで、小川町の宮ノ前の飛石と同じ構造。

歩きやすいというメリットはあるけれど、単純な円筒状の飛石に比べると天板にカエシがあるから流木などが詰まりやすく、かなり壊れやすい造りなのではないかと思う。

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近くには人造ワンドみたいなものもあった。

もしかしたら2019年の台風で護岸が洗われてできた本物のワンドかもしれないけど・・・。

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この場所、河原に石積みが並んでいるのだよね。かつて用水路があったのが、川の氾濫で埋まって地形が変わっているのかもしれない。

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この飛石があるあたりに、斜め堰があったのかもしれない。

(2025年11月30日訪問)