
日乃出観音の向かい側には、またえらく気合いの入った寺が見える。日乃出不動だ。
幟旗のあまりの多さに、寺の様子がよく見えない。本堂の裏山にも何やらにぎやかな空間があるようだ。期待がもてる。江戸の言葉に「鉄と流行り神はアツいうちに打て※」っていうのがあるが、こういう現在進行形で流行っている寺に当たると嬉しいものだ。
※鍛冶屋が鉄を打つときは熱いうちに打たないとだめなように、流行り神もアツいうちに打つに限るという洒落。信仰が盛んなことを「篤い(あつい)」、社寺に参詣することを「打つ(札打ちから)」というのに掛けている。

太鼓橋を渡って境内に入ると、そこは無数の小堂や祠に取り囲まれた濃密な霊場だった。

参拝客が引きも切らず参詣して、お神酒や線香がつぎつぎに供えられていく。

お神酒は小さな徳利に入っていて、杉の葉が差してあるものが横の売店で売られている。
それを不動様に奉納するようになっているのだ。私も早速購入して奉納した。こういう奉納ってついやってしまう。

境内には小さな滝行場がある。

本堂の横に滝行用の脱衣場があった。脱衣場は実際に使われている行場の証しなのだ。

伽藍配置図を発見。
山上には「大日大聖不動明王御神体大岩」とあり、よく見ると「洞」書かれていているではないか!
嬉しくなって思わずダッシュで山上へと駆け上がる。

山上にあったそれは、直径50cm 、奥行き1mほどの穴だった。期待してしまっただけにちょっとがっかり。

この山上の霊場はまだ整備中という感じで、住職親子と思われる人物がセメントをこねて岩場を固めたりしていた。汗を流して土方仕事をする彼らの姿には、寺をもり立てようという熱い魂が感じられた。
(2000年04月30日訪問)