天台寺から二戸市へ向かう。途中、道路地図を見ていたら山中に鳥越観音という印があったので、ちょっと回り道して寄ってみることにした。
寺なのに参道には大鳥居。しかも、その鳥居をくぐって進むとなにもない。鳥越観音に行くには、そもそも鳥居をくぐらずに写真左手の白い建物の前を通って、左に進まなければならないという理不尽な鳥居である。(決して他の神社の鳥居ではなく、まちがいなく鳥越観音の鳥居なのだ。)
そして、正しい道を進んでも寺の場所はとてもわかりにくい。目印がなくて迷ってしまった。地元の人に聞いてやっとたどり着く。
目印は竹細工館の駐車場だ。そこからさらに林道のようなところを登らなければならない。悪路なので車高の低い車は竹細工館の駐車場に置いて歩いたほうがよいかもしれない。
なんとか仁王門にたどり着く。小さな湧水もあるが、枯れていた。
仁王門の仁王は強烈に個性的。体の所々についているジャバラのような線といい、硬直したポーズといい、仏像というより巨大な遮光器土偶といった感じだ。
途中の道で見かけた狛犬。私は狛犬のほうは門外漢なのだが、どう考えても東北の狛犬って個性的なのが多い気がする。
きっと仏像と同じ血が流れているんだろう。
交差法でどうぞ
本堂。
無住の寺である。古い霊場だというが不詳で、1673年に南部藩主の寄進で再興したという。
そして、これが奥の院の鳥越観音堂だ。
期待以上のシロモノで、思わぬ発見に小躍りする私。(ちゃんと下調べしておけば、こういう観音堂だってことくらいあらかじめわかっていたはずなのだが。)
観音堂へ登る最後の階段。
柱や梁にお札が貼り付けられている。
して内部にはおびただしい写経やお札が納められている。
こういうものを見ると東北にきたな~という実感がひしししと湧いてくる。最初慣れないうちは、ちょっと怖いかもしれないが。
内部はこのようになっている。
戸は開いていて自由に参詣できるのが嬉しい。
平面図の右側のくぼみの部分。
お篭りをする人がいるのであろう。ヤカンが置いてあったりする。
平面図右奥のくぼみの部分で見かけた「童子観音」
周囲の崖のくぼみには白山社、十一面観音、薬師如来、虚空蔵菩薩の小祠が投げ込まれている。
この鳥越観音、小さな寺だったが、あまり期待していなかったのでずいぶん楽しめた。こういう小さな発見があるから、旅はやめられないのだ。
鳥越観音の奥の院は、2003年10月に火災で焼失し、現在は再建されている。火事になるから自由な出入りは禁止、というような措置が取られないことを祈りたい。
(2000年10月04日訪問)