
デンデラ野と同じく土淵地区の山口という小字にある水車小屋。
初めてでもすぐにわかる場所にあるし、遠野観光の目玉のひとつだから訪れた人も多いだろう。写真の右側は開けた水田だが、右側は民家に接している。

水輪は小屋の内部に抱き込まれている。積雪で水輪が傷むのを防ぐためであろうか。水の掛け方は「下掛け」。下掛けは豊富な水量が必要となる掛け方だが水路の水量は充分だ。
それにしてもこの風情はどうだ。
全国で観光の対象となっている水車小屋のほとんどは自治体からの補助金などで維持しているか、観光目的で新設されたものだ。だがこの水車小屋は、観光地になる以前からこの場所にあり、ほとんど姿を変えずに残ってきたものと思われる。屋根が茅葺きなのが近年の修景くさいけれど、それ以外の外壁などは戦前くらいまでいきそう。

取水口。
恐らく一年を通じて水量が確保されているのであろう。取水口には止水のための機構は見られず、豊富な水が常に水車小屋に向かって流れ込んでいる。使わないときでもこのように常に水輪に水をかけていたほうが、材木の痛みは少なくなる。

水輪にかかる直前に1m弱の落差が作ってあり、水輪に当たる水の勢いを強めるようにしてある。

内部は搗き臼が4つ。このときは使われていなかった。
はね木が少しずつ角度を変えて取り付けられていて、さながらオルゴールのように左の臼から順番に搗くようになっているのがよくわかる。
(2000年10月07日訪問)