
16時を過ぎて陽が陰ってきた。やはり10月の午後の寺巡りは時間が足らない。
次に訪れたのは龍泉寺。金剛寺があった西の山並みの南のはずれに位置している。

総門は四脚門。門扉はとってつけたような格子戸になっていて中が見通せる。一般には薬医門や四脚門の門扉は板戸で中は見えないのが普通だ。格子戸がついているとなんだか住宅みたいな感じがする。
門の左側にはつるべ井戸があった。

すこし進んだところにある山門は竜宮門。
規模からすると三間一戸だが背が高くて細く見える。
1階の亀腹部分は漆喰仕上になっていて周囲の風景とよくなじんでいる。
2階は鐘楼になっている。

斜めのアングルから見ると周囲にそびえる老松と相まってなかなかいい雰囲気だ。いかにも竜宮という感じがするではないか。
境内には季節がらキンモクセイの良い香りがただよっていた。

竜宮門は登ることができる。
登れる竜宮門って珍しい。

竜宮門の上から本堂を臨む。
本堂は9間で正面の軒に採光用の香狭間がついている意匠が普門寺とよく似ている。同じ宮大工の仕事かもしれない。

本堂の右側には2階建て桟瓦葺きの庫裏が2棟。本堂の左側には東司がある。

境内の中央には市指定天然記念物のモミジがある。とても立派なものだ。

龍泉寺の前の参道で見かけた祠。
こういう、短くて行き止まりの階段にはなぜか魅かれてしまう。
2011年の東日本大震災の津波被害によって、このあたりの風景は一変してしまっている。
龍泉寺は150mほど離れた標高の高い場所に移転した。
(2000年10月07日訪問)