姫路市に移動する。姫路市内で一カ所だけ立ち寄ったのが亀山の本徳寺だ。私は姫路市を訪れるのは初めてである。その初めてにして一カ所だけ立ち寄る観光地がこの寺だったということに深い理由はない。あえて言えば国道2号線から近かった、というのが一番の理由である。なにしろ本来は岡山を目指す旅だったのだから。
大した寺でなければ車窓から眺めて通り過ぎようとさえ考えていたのである。
しかし本徳寺に着いてみると意外にいい雰囲気の寺だった。参道は石畳で左右には塔頭群が続く。
山門の左右は築地塀で囲まれていて、門前には川も流れている。境内には櫓のような鐘楼もあり、川を堀と見立てるなら城郭寺院のようでもある。城郭寺院とは浄土真宗の大きな寺で、掘割、土塁、櫓などを持つ文字通り城塞のような寺のことだ。
もちろん櫓のある寺がすべて一向一揆などに備えた城塞としての機能を持っているわけではない。浄土真宗における櫓は本来の戦闘的な要素から、寺の格式を表わすシンボルとして変化していったのではないか。
山門は四脚門。門を入ると突き当りには塀があり、表通りから内部は見通せないようになっている。こうした作りも極めて武家的な発想と言っていいだろう。
伽藍配置はこのようになっている。
とても建物が多い。建物が多い寺に行くと何となく得をしたような気になってしまう私である。
本堂。入母屋妻入りの大きな建物だ。
本堂の左側には蓮如堂。(伽藍配置図では名前が記されていない。)
玄関。
玄関というと住宅では単なる入口という意味しかないが、寺院建築においては独立した建物になっている場合が多い。
この玄関などその最たるものだろう。
庫裏は切妻の本格的な作り。
境内の南側には重層の経蔵。
おそらく内部は回り経蔵になっていると思われる。
境内南東の角にある鐘楼。
浄華堂。経蔵の横にある。(伽藍配置図では名前が記されていない。)
境内の北東の隅にある鐘楼。
鐘楼といってもどう見ても城郭建築。
境内には他に、茶所(写真中央)、水盤舎などがある。
(2001年04月29日訪問)