本蓮寺は牛窓観光の中心的スポットである。その参道の入口は町を東西に抜ける古い通りにある。参道の左右は民家であり、名刹へのアプローチとしてはあっけないほど目立たない。
港町では少ない平地を最大限利用するため、寺と言えども広い参道は作れないのだろう。
石門を通って参道を進むと石段がある。伽藍は町並みの背後の丘の上に建てられているのだ。
山門を入ると庫裏や客殿があり、その前を通りすぎるとまた石段がある。
築地塀がちょうどいい具合に崩れかけていて絵になる。
石段を登ると本堂のある境内になっている。
あまり広くない敷地に所狭しと堂宇が建ち並んでいて写真を撮るのに困ってしまう。
三重塔。
意匠はおおむね唐様で、一層の高欄や花頭窓がくどい印象を与える。屋根に反りもなく、玩具のレゴブロックでもそっくりな模型が作れそうな塔だ。
本堂。
室町時代後期の建立という。誰が見ても重文or国宝級の建物だということがわかる、とてつもなく美しい建物である。
寄棟造の屋根、柱の上部は船肘木という簡素な意匠でありながら、全体的にはこれ以上はありえないというほどの絶妙な比率で構成されている。まったくもって、いにしえの宮大工の美意識には感嘆する以外にない。
祖師堂。
境内にはほかに鎮守社、番神堂など。
なお番神堂は覆屋に格納された3棟の建物でやはり国重文に指定されている。
(2001年04月30日訪問)