泉区を西進して仙台北西部へと向かう。周囲は丘陵と田畑のあいだに集落が点在する田園地帯だ。満興寺のある根城石地区は、行きずりの車窓にもはっきりとわかる古い町だった。と言っても、高山や妻籠のように目に見えるものではないので、心眼での観光となるのだが‥‥。
集落の個々の家は古くても戦前までは遡りそうにない。だが建物が建て変わっても、地割り、道幅、母屋の位置などによって作られる町の表情は、時間を越えて人や物の集積と往来の面影を残しているのである。
集落の本通り(写真撮りそこない)は、かつて中央に水路があっただろうかと思われる宿場の家並で、集落全体としては小さな城下町の風情(なんの根拠も無いのだが…)なのだ。持参していた道路地図では縮尺が小さすぎて町のイメージを想起出来なかったのだが、このページの左上の地図をクリックして表示してもらえば、地図上から雰囲気を読み取ることはできるだろう。
満興寺はそんな根白石の町外れにあった寺だ。
参道の途中に薬医門がある。仏教建築という感じではなく、「田舎の武家屋敷の門ふう」とでも形容したらよいであろうか、素朴な門である。
正面には書院風の本堂。
本堂の左側には本堂風の位牌堂。
位牌堂の前には客殿。法事を行うときなどの檀家の待合所に使うような建物だ。
さらに客殿の左側には鎮守社の荼枳尼天社があった。
(2001年09月24日訪問)