幸公園の交差千里型

2つの滑降部が交差する人研ぎ台。

(群馬県伊勢崎市中央町)

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伊勢崎市役所からほど近い幸公園。

そこに前田環境美術っぽい滑り台があるというので立ち寄った。これがその滑り台。

滑り台保存館#056とほぼ同形で、人研ぎのいわゆる「山系」の滑り台である。滑り台保存館ではこのタイプを「築山型」と呼び、詳細分類を「形容不可」としている。だがそれでは中々分類が進まないので、当サイトではもう一歩踏み込んでこれを「交差千里型」と呼ぼうと思う。

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滑り台保存館#056ではこのタイプの滑り台のメーカーを前田環境美術社と推定しているが、私もその見立てで間違いないと思う。

滑り台保存館で確実に前田環境美術の製品として確認可能なものとして#038がある。#038は正式には「石の山(千里型)」と呼ばれる商品である。ヤカンを逆に伏せたような形で、細い滑降部が2レーン、その間に太鼓橋のようなタラップ、タラップから見て反対側に広い滑降部が1レーン、合計3レーンの滑降部を持つ台である。

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だが千里型の2レーンの滑降部はカーブしつつも山頂から放射状に伸びているだけで、交差することはない。

滑降部が交差するタイプの滑り台としては、滑り台保存館#150がある。この滑り台も前田環境美術の製品であることが確定しており、商品名を「2面型滑り台」という。

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この物件は滑降部の交差の部分だけを見れば#150に似ており、後部の築山部分は#038に似ている。両方をつなぎ合わせたような滑り台なのだ。

よってこの滑り台を「千里型の細いほうの滑降部が交差したもの」と位置づけ、「交差千里型」と呼ぼうと思うのである。

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細い滑降部の付け根部分にある美しい窪み。

この窪みは#056にも見られるものであり、交差千里型の特徴のひとつと言っていいだろう。

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全体的にアウトラインがきれいな曲線で施工されていて、見ていて気持ちがいい。

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残念ながら滑降部は荒れはじめている。

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デッキから滑降部をみたところ。子どものうちにこういう複雑な曲線や空間を体験するって意味があるのではないだろうか。

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例の窪み。

やっぱり前田環境美術社の滑り台はセクシーだ。

残念ながらこの滑り台はもう撤去されてしまったようだ。

(2004年08月31日訪問)

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