那賀川の中流、鷲敷町へ。そこからは那賀川を離れて県道291号・竹ガ谷鷲敷線へと分け入った。
川幅が広く視界の利く那賀川本流の風景と違い、竹ガ谷鷲敷線沿いの風景は谷がちの山村という感じで、少し毛色が違っている。
鷲敷町の中心部から離れて少し行ったところで道端にベーハ小屋があった。トタン板を巡らせたかなり状態のよい建物だ。
ベーハ小屋は収穫した葉たばこを農家で乾燥させる設備だが、特に葉タバコのうち「米葉(べいは)」=「黄色種」を乾燥させるものだということはすでに何度か説明している。
もう少し黄色種について細かくいうと、黄色種には「第1黄色種」~「第4黄色種」の4系統の品種がある。四国では香川・高知は第1黄色種産地、愛媛・徳島は第2黄色種産地といわれている。
だが、徳島の第2黄色種産地は吉野川の北岸の平野部のことである。ここ県南は第1黄色種の産地で、香川・高知と同じグループに入る。
高知県の農業というとコメの二期作が思い浮かぶけれど、かつては阿南のタバコ農家でも葉タバコの収穫が終わって同じ圃場で8月中旬から田植えをしたという話を聞いたことがある。
このベーハ小屋を見るかぎり、吉野川地域のベーハ小屋と違いは感じられない。現時点では黄色種の品種によって乾燥小屋の構造には違いはないと私は考えている。
(2007年05月27日訪問)