前回に訪れたとき、いったん入ろうと思ったのだが境内で飼い犬が吠えまくっていたので入る気にならず、岩屋寺奥の院の帰路にもう一度入ろうとしたら、住職の息子さん (?) が庭を掃いていて、なんとなく気まずくて入ることができなかったのである。
塔頭のような小さな寺なのに、2回入ろうとして入れなかったのは、きっと仏縁がなかったのだろう。今回は三度目の正直ということになる。
この寺は、たぬきの寺と呼ばれていて、信楽焼のタヌキが境内に置かれている。しかし、このタヌキを集めたのは現在の住職ではなく、その前にこの寺を預かっていた住職とのこと。現在の住職はタヌキには興味はないようだった。
ちなみに今回も犬が吠えまくっていた。あまり観光客にウエルカムな感じの寺ではない。だいたい、飼い犬が参拝者に吠えかかるというのは、飼い主が参拝者を歓迎しない気持ちの現われなのではないかと思う。
軍人墓地は境内の奥にある。
前回写真を撮った位置からも注意して見れば見えたはずで、ホント、注意不足だったというか、自分で目を開けてなにを見てきたんだとあきれてしまった。
その反省から、小嶋氏に話を聞いてからすぐの再訪となったのである。
小嶋氏によれば、この軍人像は名古屋市千種区の覚王山の霊園の北側にもともと祀られていたものとのこと。住職の話では、寺や霊園に祀られていたのではなく、私有地に並んでいたのだそうだ。それが区画整理かなにかで撤去されるところを、仲介人を通してこの寺へ移転することになったらしい。ただ、詳しい経緯は住職も口を濁していて、聞かれたくはないという様子だった。いろいろと事情がある軍人像のようである。
実は名古屋市の東部には、レンタル式の個人霊場という信仰形態があって、かつては寺の土地やあるいは大地主から場所を借りて個人がお堂などを祀ることができたようなのだ。現在はそのあたりを歩くと「ここは○○株式会社の土地だから一歩でも入るなら連絡しろ」などの看板が立っていたりする。なんとも世知辛い世の中になった。
軍人像は一人一人すべて違っていて、きわめてリアルである。写真などをモデルにして実在の人物に似せて作られたものなのだろう。
小嶋氏によれば、名古屋第三師団歩兵第六連隊の慰霊の像なのだという。
(2002年02月10日訪問)