本証寺。
この日最後に訪れた寺。
先ほど立ち寄った上宮寺とともに、三河一向一揆の拠点となった三ヶ寺のひとつ。
場所から言うと、初日の移動経路に近いので、今にして思えば初日に立ち寄るべきだったという反省が残る。
本証寺は、いわゆる城郭寺院といわれるタイプの寺で、その作りはまるで小さな城のようだ。
山門は四脚門。その前は堀になっている。
寺域の角には鼓楼があるが、これなどまるで城の隅櫓のたたずまいである。
とは言え、実際にこの寺に平城としての防御力があるかというと、それは皆無であったろうと思う。そうでなければ、幕藩体制の過程でこのような城まがいのものが存続できたはずはないだろうから。
一向一揆の時代にはもっと堅固な要塞のような寺だったのかも知れないが、今日に残る城郭寺院に見られる堀や櫓は、言ってみれば、かつて一向一揆の拠点として名を馳せたという歴史を物語るシンボルとして作られたものではないかと私は考えている。
また、真宗の地方の有力寺院もこれらの著名な寺院に習って城郭的な櫓などを建てることで、プライドを誇示したのではないだろうか。
境内はだだっ広い。本堂、経蔵、鐘堂などがある。
境内の茶色く見える地面は、砂利を樹脂で固めたような材質で、強風でもホコリひとつ立たないようになっている。
鼓楼を裏側から見たところ。
方丈、庫裏などが見えたが、境内にも堀があって近づくことはできなかった。
時刻は5時半。いくら2月でもまだ少しは日の明るさが残っている時間なのだが、伊吹おろしの身を切るような寒風で正常な人間活動ができない状況になってきた。北関東育ちの私はそれなりに寒風には慣れているつもりだったが、この日の寒さは北関東の冬以上に感じられた。このページの写真のような異様な空模様と色調は、あまりにもの寒気にデジカメが正常に動作しなかったためではないかと今でも思っている。たまらず寺の隣にあった雑貨屋に駆け込んだが、中華まんやおでんのようなものはなく、しかたなくお茶とスナック菓子を仕入れて岡崎市街へと向かった。
岡崎市は初めてだったが、国道1号沿いのそれなりの市なので宿の心配はいらない。静かそうなビジネスホテルに部屋を確保したあとは、外食、スパといういつものパターンである。寒さでだいぶ疲労したので、スタミナの付きそうな焼き肉を食べ、岡崎インターのそばのスーパー銭湯でじっくりと暖まることにした。
(2002年02月10日訪問)