天恩寺がこの日最後の訪問予定地だったので、あとは帰宅するだけとなった。
ただし、このあたりには猪垣があるらしいので、もうひと踏ん張り、注意して走ることにする。
大雨河小学校の付近で、川の対岸に石垣が見えたので1箇所だけ立ち寄ってみた。
1mくらいの石垣が田んぼと山を隔てて続いている。
要塞のような田んぼだ。
沢水を田んぼにいれる導水路。
田んぼの水口に直接に流し込まずに、田んぼの中に水路を切って、田んぼの中央部から水を入れている。
沢水の水温を少しでも上げてから稲に与えるための仕組みだ。このような水路を「ヌルメ」と言う。
田んぼへの出入口は電気柵になっていた。
石垣の石は写真で見るかぎり平たいので、変成岩の一種だろうか。このころの私は、石のことも、田んぼのこともあまり興味もなかったから、いまもう一度この田んぼを訪れたら、もっといろいろなものを発見できるかも知れない。たとえば、写真に写っている「ワラグロ」と呼ばれる、稲ワラを積んだものひとつを見ても、この田んぼが伝統的な方法で耕作されていることがわかるのだが、当時の私にはこれは見えていなかった。
最後はかなり慌ただしくなってしまったが、旅の最後の最後で好印象の場所に出会った。額田町や奥三河方面は、以前から漠然と行ってみたいとは思っていたが、今度訪れるときには猪垣巡りをしてみたいものだ。
(2002年02月11日訪問)