これまで見てきた稚蚕共同飼育所は、どれも集落のなかで広い道に面して建てられていたが、この受地の稚蚕共同飼育所は立地が変わっている。
道から引っ込んだところの共同墓地のさらに奥にあり、表通りからは全く存在が伺い知れない。飼育所への道も舗装されておらず、地図がなければ車で入ってみようと思える場所ではなかった。
飼育所は必ずわかりやすい場所にあると思っていたので、この物件を知らなかったら、このあといくつかの飼育所を見逃してしまっていたかもしれない。
間取りは直線的で、主出入口は北面。構造は、ブロック壁構造、小屋組みは木造、スレート瓦葺き、換気塔は4個だった。
建物の周りには資材が置かれていたので、入口には近づかなかったが、いま思えば中を覗いてみればよかったと悔やまれる。
飼育所をいくつも見るうちに、実は内部のムロ(室)のタイプが重要なチェックポイントのひとつだと気付いたのだが、このときはまだ飼育所の内部に違いがあるとかないとか、そういう視点すらもなかったのだ。
主出入口の反対側、南側の妻。こちらが宿直室になっているものと思われる。
手前にある物置のようなところは、更衣室の痕跡ではないかと思う。また、奥に見える別棟は用具倉庫だったのではないだろうか。
(2007年01月14日訪問)