上市地区の棚田の中に、ポツンとお堂があった。
通常であれば、あえて立ち寄るような堂ではないのだが、この地方における茶堂と、茶堂ではない辻堂の違いを確認するために立ち寄ることにしたのだ。
写真を見てもすぐわかるように、吹き放ちでない、屋根が宝形でない、という点で外見的にも茶堂とは言えないものだ。
内部は青面金剛の石仏が祀られていた。ゴザが置かれているので、いまでも庚申講などが行われるのかも知れない。
なお、山野地区にはミニ八十八ヶ所巡りがあり、この堂はミニ八十八ヶ所霊場の七十番、本山寺に割り当てられている。ミニ霊場の設置により、村の外部からの来訪者もあるだろうが、最盛期であっても茶堂の接待が定常的に可能なほどの参拝者があったとは考えにくい。
(2002年08月26日訪問)