ここからは山野の市街を離れて渓流に沿って谷に分け入っていく。人家はまばらになるのだが、茶堂の分布は濃密で、500 m に1ヶ所くらいの割合で建っている。
写真の堂は、茶堂なのかどうかは確信はないのだが、茶堂ということにしておく。なぜ確信がないかというと、茶堂は「茶を接待する堂」という定義だけでなく、「三方、もしくは、四方が吹き放ち」という構造を持っているのが常だからだ。
だが、この堂は土蔵造のため、正面一間は吹き放ち、背面は地蔵格子の窓となっていて、かなり閉鎖性が高い。この点では、茶堂と言えるかどうかは微妙なところだ。
だが、後でブロック造の茶堂も紹介するが、土蔵のような壁構造の場合、吹き放ちは正面だけになってしまうのはいたしかたないことだろう。
祀る人がいなくなってしまったのだろうか。屋根や壁は崩れかけている。もし次に訪れることがあっても、もう残っていないかもしれない。
(2002年08月26日訪問)