南宮神社

神仏習合時代の伽藍を色濃く残す神社。

(広島県府中市栗柄町)

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福山市から府中市へ移動。このルートは、以前の山陽の塔巡りの旅の終盤に、西から東へ通った道だ。今回は逆方向に、東から西へ通行したのだが、なぜか前回通ったときの記憶がなく、まるで初めて来た土地のように感じられた。私はたいてい、一度通った道は思い出せるので、これは不思議体験と言える。

南宮神社は府中市の南の郊外の丘陵の麓にある神社だ。参道には石門がいくつも並び立っていて、ちょっと異様な風景を作っている。

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参道の途中には神宮寺があり、順番としては先に神宮寺に参詣したのだが、レポートしては神社をまず紹介しておこう。

神宮寺というのは、神社に付属する寺である。神宮寺は神仏分離で廃寺になったケースが多いが、さきほど立ち寄った賀茂神社にも神宮寺らしきものがあった。この地方には多く残っているのだろうか。

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山門は八脚門の随身門。

やはり高床になっている。

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本殿は正面五間、奥行三間の巨大な堂だ。ぱっと見には、八幡造か権現造の拝殿のように見えるが、この堂には背後に別の建物はなく、これ自体が本殿なのである。寺とも神社ともつかない建物だ。

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本殿の軒には戦争絵馬が掛かっていた。

明治三十九年四月上旬と書かれている。日露戦争の金州城攻略の様子ではないかと思う。

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中央にはロシア正教風の建物、左手には日本風の城郭や五重塔が描かれ、空には気球が浮いている。

中央の建物は現在の旅順駅とよく似ている。おそらく内地の風景ではなく、満州方面の風景と思われる。

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本殿の右側のほうには広い平地があるが、ここはかつて神宮寺があった場所かも知れない。

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平地の一角には鐘堂が残されていた。神社には似つかわしくない建物だ。

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堂宇は多い。

末社。手前は出雲神社。奥は市杵島神社。

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信徒休憩所?

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神輿庫(しんよこ)

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水盤舎。

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神厩舎(しんきゅうしゃ)

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中にいたのは、薄暗くなってから見たら怖いような白塗りの神馬だった。

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境内には茶堂もあった。

(2002年08月26日訪問)